2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境中における安定性の解明に向けた腐植物質の平均化学構造モデルの構築
Project/Area Number |
20380043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (50231098)
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Keywords | 腐植物質 / フミン酸 / 腐植化度 / 難分解性 / X線回折プロファイル / 炭素官能基組成 |
Research Abstract |
黒ボク土、褐色森林土等から分離・精製した腐植化度の異なるフミン酸10点についてX線回折スペクトルを測定し、網面サイズ分布、網面積層数分布の分析を行った。002バンドを用いた網面積層数分布の解析では、γバンドの影響を排除することが困難であり、正確な計算ができなかったが、網面サイズを反映する11バンドについては、測定条件検討の結果、全てのフミン酸から解析可能な強度で検出することができた。Carbon Analyzer 2007を用いた11バンドの解析により、フミン酸中に縮合環数4〜37に相当する0.24〜1.68nmの炭素網面が存在することが明らかになった。最も縮合度が高い縮合環数37の炭素網面はA型フミン酸のみから検出された。総炭素網面含量および縮合環数7、14、19、30に相当する各炭素網面の含量と黒色度および^<13>C NMRから求めた芳香族炭素含量との間に高い正の相関を見出し、腐植化の進行に伴ってそれらの存在比が高くなり、土壌中における分解性の低下に寄与していることが推察された。炭化物はA型フミン酸の前駆体のひとつと考えられてきたが、フミン酸中の炭素網面サイズは、グラファイト構造が発達した炭化物と比較すると明らかに小さく、炭化物の寄与が小さいことが示唆された。フミン酸と炭化物のTEM(透過型電子顕微鏡)観察によって確認された。また、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析の予備実験では、フッ化水素処理によって灰分を除去した後に、陽イオン交換樹脂を用いて試料を十分にH型とすることで、解析可能なデータが得られることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)