2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境中における安定性の解明に向けた腐植物質の平均化学構造モデルの構築
Project/Area Number |
20380043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50231098)
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Keywords | 腐植物質 / フミン酸 / 腐植化度 / 固体^<13>C NMR / 難分解性 / 糖 |
Research Abstract |
Ramp CP (Cross Polarization)法による固体^<13>C NMR解析においてC官能基組成解析の精度を低下させるスピニングサイドバンド(SSB)を定量的に消去するために、これまで腐植物質への適用例がなかったPASS(Phase-Adjusted Spinning Sideband)法の導入を検討した。その結果、1試料当たりの測定時間は長くなるものの、これまでSSBの消去に用いられてきたTOSS (Total Suppression of Sinning Sideband)法と異なり、芳香族C、カルボニルCのシグナル強度が維持された定量性の高いスペクトルが取得できる測定条件を確立することができた。また、C官能基組成の細分化をはかるためのパルスシークエンス、PASS/DD(Dipolar Dephasing)およびCSA(Chemical Shift Anisotropy)フィルタープログラムの組み込みを終えた。黒ボク土と同様腐植集積量の大きいモリソルのフミン酸および黒色度の高い水田下層土の結合型フミン酸の構造解析を行った。その結果、いずれの土壌のフミン酸もC官能基組成、X線回折プロファイル解析に基づくC網面組成において、他の土壌種のフミン酸と黒色度を基準として比較した際に同一線上にあり、母材や生成および腐植化過程が異なっても包括的なモデル提示が可能であることが明らかとなった。また、フミン酸中の糖鎖の平均構造および平均重合度を明らかにするために、主要7糖の部分メチル化誘導体のGCIMSデータベースを作成した。次いで、箱守法によるメチル化、硫酸加水分解、アセチル化の後、誘導体化された単糖をGC/MSで解析したが、メチル化における高収量にも関わらず、黒色度の高い埋没黒ボク土フミン酸からは糖由来ピークを検出することができなかったため、他の試料を用いて継続して分析を進めている。
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[Presentation] Relationship between ^<14>C age and structural property of humic acids2010
Author(s)
Watanabe, A., Ochi, S., Kato, C., Ikeya, K., Nakamura, T.
Organizer
19th World Congress of Soil Science
Place of Presentation
Brisbane, Australia
Year and Date
2010-08-05
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