2009 Fiscal Year Annual Research Report
菌根共生系の窒素代謝機構とその土壌圏の窒素循環における意義
Project/Area Number |
20380044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 雅典 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40355079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 勝晴 信州大学, 農学部, 准教授 (40444244)
青野 俊裕 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (10372418)
藤井 毅 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 上席研究員 (00354100)
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Keywords | 菌根 / 共生 / 窒素代謝 / 窒素循環 / ポリリン酸 / アーバスキュラー菌根菌 |
Research Abstract |
本研究では、植物とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)との共生システムにおいて、AM菌の植物の窒素吸収への寄与、および窒素に関わる代謝制御機構を解明し、土壌圏窒素循環におけるAM共生の意義を探ることを目的とする。 (1)窒素吸収へのAM菌の寄与、及び窒素がリン酸吸収移行に及ぼす影響:土壌中の窒素の存在によってAM菌のリン吸収が影響を受ける可能性を確かめるために、ポリリン酸をAM菌のリン吸収の指標として、AM菌のリン吸収に及ぼす土壌中無機態窒素の影響を検討した。すなわち、砂耕条件で植物(長ネギ)に十分にAM菌を感染させた後、砂培地中の養分を洗い流して根・外生菌糸からの養分供給を絶ち、その後窒素濃度の異なる養分を新たに供給した場合にAM菌と植物がどのように応答するか、根内のポリリン酸に着目して解析した。その結果、添加する窒素濃度の上昇にともないAM菌感染根および外生菌糸のポリリン酸蓄積が促進された。このことは、土壌中の無機態窒素濃度はAM菌のリン吸収に影響を及ぼし、窒素が欠乏する条件ではAM菌のリン吸収が制限され得ることを示すものである。 (2)窒素の主要移行態であるアルギニンの細胞内局在性:菌根菌における主要な窒素輸送形態であるアルギニンの細胞内局在を明らかにするため、大腸菌アルギニンtRNA合成酵素を用いたアルギニン検出法の開発を行った。酵素を精製するため大腸菌で高発現させたが、十分な量を精製することができなかった。 (3)AM菌形質転換法の開発:継代培養の過程でニンジン毛状根中でのAM菌の生育が著しく低下し、In Vitro二重培養系の維持が困難となった。
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