2011 Fiscal Year Annual Research Report
微好気環境に特異的な微生物代謝とその制御に関する研究
Project/Area Number |
20380046
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70291052)
|
Keywords | 好気 / 嫌気 / 微好気 / 呼吸 / 光合成 / 微生物 / 脱窒 / 緑膿菌 |
Research Abstract |
緑膿菌に関しては、高酸素条件でも微好気的呼吸代謝が主要であることが明らかになったので、微好気呼吸を担うcbb3タイプの末端酸化酵素について詳細な解析を行った.2つのcbb3タイプの酵素(Cbb3-1,Cbb3-2)は、それぞれccoN101Q1P1とccoN202Q2P2遺伝子群にコードされており、CcoN, CcoO, CcoPが酵素の3つのサブユニットであり、CcoQは酵素のアセンブリに必要とされる。緑膿菌のゲノム上には、これら以外にさらに2つの不完全なcco遺伝子群が見つかり、それらをccoN3Q3,ccoN4Q4と名付けた。4種のCcoNと2種のCcoOPのセットは、組合せを変えてもハイブリッド酵素として機能し、ハイブリッド酵素は呼吸阻害剤に対する耐性などで異なる性質を示したことから、緑膿菌は微好気条件での生育環境変化に応じて、サブユニット交換によりccb3タイプの酵素の性質を変化させることで適応していると考えられた。 好気性光合成細菌Roseobacter denitrificansについて、転写調節因子RegBA,PpsRの光合成遺伝子の発現に対する役割を、変異解析とトランスクリプトーム解析により調べたところ、PpsRについては嫌気性光合成細菌Roseobacter sphaeroidesと同様に光合成関連遺伝子の発現抑制因子として働いていたが、RegBAについては嫌気性光合成細菌とは異なり、光合成遺伝子発現の活性化因子としては機能しておらず、酸素と光に対して独特の応答機構を有していることが示唆された。 好熱性水素細菌Hydrogenobacter thermophilusについては、酸素耐性に関与する因子を検索した結果、パーオキシダーゼ活性を持つRubrerythrin様タンパク質が、本菌の好気的生育に必要であることが明らかになった。
|
Research Products
(29 results)