2008 Fiscal Year Annual Research Report
阻害剤を用いた細菌のアクチン様細胞骨格タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
20380047
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和地 正明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90192822)
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Keywords | MreB / A22 / 阻害剤 / 蛍光標識誘導体 / アクチン様細胞骨格 / 転写 |
Research Abstract |
細菌のアクチン様細胞骨格タンパク質MreBの特異的阻害剤であるA22の作用様式を明らかにするために、A22耐性変異株を大腸菌より多数分離し、その変異部位を同定した。その結果、得られた変異のほとんどがMreBタンパク質のATP結合ポケットの周辺にマップされた。このことから、A22はMreBタンパク質のATP結合ポケットに結合して作用することが示唆された。さらに、好熱菌由来のMreBタンパク質の3次元構造情報をもとにしたA22のin silicoドッキング解析の結果もこれを支持するものとなった。in silicoドッキング解析の結果をもとに、A22の蛍光標識誘導体の設計を行い、いくつかの誘導体を合成した。そのうちのアントラセン標識A22誘導体が生きた大腸菌細胞のMreBラセン構造をきれいに染色することを確認した。さらに、3つのMreBホモログを有する枯草菌の細胞でもラセン構造が染色されることが明らかとなった。現在、アントラセン標識A22誘導体がどのMreBホモログに結合しているかを検討中である。これらのことより、本研究課題の目標のひとつである簡便に細菌のアクチンフィラメントを観察する手法の開発に成功した。また、アクチン様細胞骨格の転写における役割を明らかにするために、アレイ解析を行なった。その結果、鞭毛形成や走化性に関与する遺伝子発現がA22処理により顕著に抑制されることが明らかとなった。実際にA22処理した大腸菌細胞では遊走性の低下が認められた。
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Research Products
(6 results)