2009 Fiscal Year Annual Research Report
阻害剤を用いた細菌のアクチン様細胞骨格タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
20380047
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和地 正明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90192822)
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Keywords | MreB / A22 / 阻害剤 / PBP1B / 溶菌 |
Research Abstract |
細菌のアクチン様細胞骨格タンパク質MreBは、細胞の桿菌形態の維持に機能している。MreBは細胞膜の内側に長軸に沿ってらせん状に局在している。A22[S-(3,4-dichlorobenzyl) isothiourea]はMreBに特異的な阻害剤で、MreBらせん構造を破壊することにより大腸菌を球菌化させる。A22処理によって増殖は次第に低下するが、細胞は溶菌しない。大腸菌の主要なペプチドグリカン合成酵素の一つであるPBP1Bを欠損したmrcB変異株をA22処理すると細胞が溶菌することを見出した。しかし、PBP1Bの機能的ホモログであるPBP1Aを欠損させたmrcA変異株をA22処理しても溶菌しなかった。昨年度分離したA22耐性変異株の中に増殖の温度感受性を示す変異株を2株見出した。先の溶菌現象を調べるため、新たに見出した温度感受性mreB変異とPBP1B欠損のmrcB変異を組み合わせた二重変異株を作製した。この二重変異株は培養温度を上げると直ちに溶菌した。これらのことよりMreBとPBP1Bの同時欠損は溶菌を引き起こすことが明らかとなった。また、これまで機能的に相補的な関係にあると考えられてきたPBP1AとPBP1Bには互いに補い合えない機能があることが明らかとなった。この知見は、より効果的な抗菌薬の開発のためのドラッグデザインにおいて有用であると思われる。また、A22耐性変異株の中に、細胞がらせん状に伸長するユニークな変異株を見出した。変異株は、mreB遺伝子内には変異を有していなかった。このような形態を示す変異株はこれまで報告されていないことから、形態形成にかかわる新規な遺伝子が見出せる可能性がある。
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Research Products
(9 results)