2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌鞭毛フラジェリンの構造機能相関と細胞表層局在化機構
Project/Area Number |
20380049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 幸作 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (90142299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30273519)
三上 文三 京都大学, 農学研究科, 教授 (40135611)
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Keywords | フラジェリン / 鞭毛 / 細菌細胞表層構造 / アルギン酸 / X線結晶構造解析 / 超チャネル / ペプチドグリカン構造 / ペプチドグリカン分解酵素 |
Research Abstract |
スフィンゴモナス(Sphingomonas)属細菌A1は、細胞表層に巨大な体腔を形成し、そこから高分子多糖(アルギン酸)をペリプラズムに取り込む。取り込まれたアルギン酸はペプチドグリカン層を通過して、細胞膜局在のABCトランスポーターによって細胞質へ輸送され、細胞質局在性のアルギン酸リアーゼによって単糖に分解され、資化される。この場合、体腔の形成には本来鞭毛形成タンパク質である筈のタンパク質フラジェリンが細胞表層に2種類(P5, P6)発現し、両者を破壊すると細胞は死滅する。また、両フラジェリンは強力なアルギン酸結合能を有する。このような現象を理解するため、フラジェリンP5の立体構造を決定した。その結果、P5は、N-ターミナルとC-ターミナルから成るα-ドメイン(更にα1とα2から成る)と中央部のβ-ドメインから構成されている。α-ドメインはアルギン酸の結合に関与している(より詳細にはα1とα2の境界にあるスポークル領域に結合)。β-ドメインはT4ファージの宿主接着に必要なshort-tail fiberとbaseplateを結び付けるヒンジタンパク質gp11の立体構造と重なることを明らかにした。これにより、鞭毛やファージを構成する分子の起源、進化、構造と機能に関して新たな視座を提供した。また、ペプチドグリカン分解酵素(FlgJ)の立体構造を初めて決定し、リゾチームとは触媒残基が明らかに異なることを見出した(掲載受理論文 : Maruyama Y., Ochiai, A., Itoh, T., Mikami, B., Hashimoto, W., & Murata, K. : Mutational studies of the peptideglycan hydrolase FlgJ of Sphingomonas sp. strain A1. J. Basic. Microbiol., inpress, 2010)。
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