2010 Fiscal Year Annual Research Report
微生物における還元的脂肪酸・有機酸変換機能の探索と開発
Project/Area Number |
20380050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 順 京都大学, 農学研究科, 教授 (70281102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻谷 英治 京都大学, 農学研究科, 助教 (10362427)
岸野 重信 京都大学, 農学研究科, 助教 (40432348)
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Keywords | 還元反応 / 脂肪酸 / 有機酸 / 嫌気性菌 / 共役脂肪 |
Research Abstract |
(1)不飽和脂肪酸飽和化反応の機能性油脂生産への応用 乳酸菌において不飽和脂肪酸飽和化代謝系にて機能する4つの酵素、水和脱水酵素(CLA-HY)、アルコール脱水素酵素(CLA-DH)、二重結合転移酵素(CLA-DC)、エノン還元酵素(CLA-ER)について有用物質生産への応用を検討した。まず、CLA-HY、CLA-DH、CLA-DCにより構成される複合酵素系を用いた共役脂肪酸生産について検討した。すなわち、これら4つの酵素を共発現する大腸菌を構築し、本大腸菌の休止菌体を触媒とするリノール酸変換反応を試みた結果、24時間の反応にて90mg/mlのリノール酸から54mg/mlの共役リノール酸(9cis11 trans,9trans11 trans異性体の混合物)を生産することができた(収率60%)。また、CLA-HYを用いる水酸化脂肪酸の合成を検討した。すなわち、CLA-HYを発現する大腸菌を構築し、本大腸菌の休止菌体を触媒とするオレイン酸変換反応を試みた結果、1.5時間の反応にて28g/lのオレイン酸から27g/lの10-ヒドロキシステアリン酸を立体選択的に(S体に対し100%e.e.)生産することができた(収率90%)。 (2)有機酸のアルコール類への還元的変換反応 コハク酸をプロピオン酸へと脱炭酸する菌株、及びプロピオン酸を1-プロパノールへと還元する菌株の探索を行った。その結果、コハク酸からプロピオン酸を生産するSelenomonas ruminantium JCM6582及び、プロピオン酸から1-プロパノールを生産するClostridium sporogenes JCM 1410を取得した。各反応に対する最適条件の検討を行い、これら2株の混合培養による1-プロパノール生産を試みた。その結果、コハク酸を原料としプロピオン酸を経由する1-プロパノール生産に成功した。
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