2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物のエンドグリコシダーゼの変異酵素を活用した糖鎖医薬品の開発と調製法の確立
Project/Area Number |
20380052
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 憲二 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (70109049)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 久 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (40379087)
|
Keywords | エンドグリコシダーゼ / 糖転移活性 / オキサゾリン化合物 / シアロ糖鎖 / 糖鎖医薬品 / インフルエンザウイルス / 感染阻害剤 / 部位特異的変異酵素 |
Research Abstract |
今年度は主としてエンド-Mの特異なsubstrate assisted catalysis機構に基づいて、オキサゾリン構造を有する糖鎖供与体を用いた糖転移反応を検討するとともに糖転移活性が高められた変異酵素の取得を試みた。すなわち、エンド-Mは酸性アミノ酸からなる酸塩基触媒残基のみを有する一方、基質のN-アセチルグルコサミン残基の2-アセトアミド基が求核残基として機能して、オキサゾリン反応中間体を形成し、酵素反応が進行する。そこで、オキサゾリン反応中間体を基質として糖転移反応を進行させ、加水分解は抑制されるような酵素反応を検討した。まず、ニワトリ卵黄から抽出単離したシアロ複合型糖鎖を有する糖ペプチドにエンド-Mを作用し、遊離したN-アセチルグルコサミン一残基を有するシアロ複合型糖鎖にトリエチルアミンと2-クロロ1,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリドを加えて反応することによってエンド-Mの酵素反応中間体であるオキサゾリン糖鎖を化学合成した。昨年度において、加水分解活性は低下しているにもかかわらず、オキサゾリン糖鎖を供与体基質とした場合の糖転移活性は保持されている変異酵素N175Aを取得しているので、本変異酵素を多量に調製し、得られた精製酵素標品を用いてシアロ複合型糖鎖のオキサゾリン中間体を供与体、N-アセチルグルコサミンを付加したエリスロポエチンの部分ペプチドを受容体として糖転移反応を行ったところ、糖転移生成物である糖ペプチドが効率的に生成された。また、本変異酵素を用いて、ヒトインフルエンザウィルスの感染阻害剤を効率的に化学-酵素合成した。次いで、N-175残基について、さまざまなアミノ酸に置換した部位特異的変異酵素を作成して、オキサゾリン糖鎖を用いた糖転移活性を検討したとこう、アスパラギン残基をグルタミン残基に置換したN175Q変異酵素が最も高い糖転移活性を示すことを見出した。
|
Research Products
(9 results)