2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20380055
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
吉川 博文 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50175676)
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Keywords | 微生物 / 遺伝子 / 発現制御 / 細胞分裂 / 脂質合成 / 細胞分化 / クエン酸回路 / 機能ネットワーク |
Research Abstract |
栄養増殖期を抜け定常期と呼ばれる時期にある微生物細胞の生命活動の解析は、細胞の持つ新たな生理機能や遺伝的制御機構を解き明かすことに繋がると考えられる。クエン酸回路の一酵素、2-オキソグルタル酸脱水素酵素をコードするodhBの完全破壊株は正常に栄養増殖するが、対数増殖後期になると急速に死滅する。胞子形成能を100%欠いており、サプレッサー株は取得できなかった。また転写因子として働くSpo0Aが活性化状態にあってもOdhBがないと転写因子として機能できないことを明らかにした。したがって分化のマスターレギュレーターであるSpo0Aをさらに上位で制御していることが明らかになり、この因子がクエン酸回路の因子である点から、細胞のエネルギー状態を感知して分化を進行させる運命決定因子であることを示唆している。一方、脂肪酸合成系の必須酵素PlsXが細胞分裂装置と相互作用することを見出し、さらに分裂隔壁形成に重要なZ-ringの重合に関与していることを明らかにした。我々の結果や他の報文から、脂質合成系が包括的に糖質センサーとして細胞分裂を制御していることが示唆される。また、PlsXの細胞内複合体解析では、OdhBと同じ細胞分裂因子との相互作用も見られた。このような背景から、エネルギーや栄養のセンサーが細胞分裂や胞子形成開始を制御する機能ネットワークの存在を示唆することが出来た。
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Research Products
(12 results)