2008 Fiscal Year Annual Research Report
サーモライシンの食品工業への利用性拡大を目的とした蛋白質工学と反応制御工学
Project/Area Number |
20380061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 國世 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (10223249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保川 清 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30397559)
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Keywords | 酵素 / 蛋白質工学 / 反応制御 / ペプチド / 食品 / プロテアーゼ / サーモライシン / 部位特異的変異導入 |
Research Abstract |
1. サーモライシン(TLN)のZnリガンドの改変:TLNは活性に必須のZn2+を1個もつ。このZn2+はH142,H146,E166の3残基により保持されている。本研究では、これらZnリガンドのうちE166をA,C,D,H,Gへ変換し、TLNの活性、安定性、基質特異性に及ぼす効果を検討した。カゼインおよび合成基質Furylacryloyl-G-L-amide(FAGLA)に対する加水分解活性はDへ変換したE166Dでのみ認められたが、カゼイン活性は野生型TLN(WT)の8%に低下し、FAGLA活性は250%に増大した。WTにCo2+を添加すると濃度依存的に活性増大し1mMでは300%に増大したが、E166Dでは逆に15%に低下した。E166DのCo2+親和力はWTに比べて40倍増大することが示された。WTの活性は4M NaCl添加により13倍増大するが、E166Dでは4倍であった。以上のことから、E166DはCo2+の親和力の増大により活性増大がもたらされたと考えられる。 2. Ca3ループの改変と熱安定性増大:TLN様酵素のうちで高い熱安定性を持つものはアミノ酸配列の57と59位にDをもつ。これをSやTに改変するとT50は7-19℃も低下した。この領域はCa3配位ループであり、S53およびS65をそれぞれDに変換すると熱失活速度は30%に低下した。また、S65をPに変換し、G8とN60をCに変換してSS結合を導入した変異体(G8C/N60C/S65P)では熱失活速度は50%に低下した。一方、L144Sでは活性が6倍増加し、これに(G8C/N60C/S65P)を付与した4重変異体では活性が6倍に増大し、熱失活速度は30%に低下していた。このことから、Ca3ループの安定化が熱安定性を増大させること、この熱安定化効果はL144Sによる活性化効果とは独立して機能することが示された。 3. 自己消化部位の改変と熱安定性増大:TLNの熱失活には自己消化を伴う。4消化点が認められ、最も主要なものはG154-L155と考えられる。L155をA,F,S,Gに変換したところ、AとFで失活が顕著に抑制された。とくに、L155Fで活性が30%に低下したが、L155Aでは150%に増大した。L155Aと(G8C/N60C/S65P)を組み合わすことにより、熱安定性はさらに向上した。
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Research Products
(60 results)
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[Journal Article] Effects of introducing negative charges into the molecular surface of theriolysin by site-directed mutagenesis on its activity and stability.2008
Author(s)
Takita, T., Aono, T. Sakrama, H., Itoh, T., Wada, T., Minoda, M., Yasukawa, K, Inonye, K.
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Journal Title
Biochim. Biophys. Acta. 1784
Pages: 481-488
Peer Reviewed
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[Journal Article] Gene cloning, expression, purification and characterization of rice (Oryza saiva L. ) class II chitinase CHT11.2008
Author(s)
Xaayphakatsa, K. Tsukiyama, T., Inouye, K., Okumoto, Y., Nakazaki, T., Tanisaka, T.
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Journal Title
Enz. Microb. Technol. 43
Pages: 19-24
Peer Reviewed
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[Journal Article] A novel anti-plant viral protein from coclomic fluid of the earthworm Eisenia foetida : Purification, caracterization and its identification as a serinc protease.2008
Author(s)
Ueda, M., Noda, K., Nakazawa, M., Miyatake, K., Ohki, S., Sakaguchi, Inouye, K.
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Journal Title
Compt. Biochem. Physiol. B. 151
Pages: 381-385
Peer Reviewed
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