2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスセンサーIRE1によるシグナル伝達機構の解析
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20380062
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河野 憲二 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (50142005)
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Keywords | ストレス / シグナル伝達 / 細胞・組織 / 蛋白質 / 動物 |
Research Abstract |
IRE1αの分子局在はきちんとした形では調べられていないが、酵母のlre1は、我々の免疫電顕と蛍光抗体で小胞体膜上にあることが確認された。また動物のIRE1βは、免疫電顕により小胞体膜上にしかない(核外膜にもある)ことが明らかとなっている。また他の研究者達の報告も考慮すると動物のIRE1αも小胞体膜上にあると考えるのが妥当である。細胞に小胞体ストレスがかかると、IRE1αの標的分子であるXBP1 mRNAは3-4時間程で殆どの分子が細胞質スプライシングを受ける。一方XBP1 mRNAから翻訳されるタンパク質は、そのアミノ酸配列からはサイトゾル蛋白質と予測され、IRE1αとXBP1 mRNAがどのようにして効率良く出会うことができるのかは謎であった。我々はXBP1u(unspliced)mRNAがどのようにしてIRE1αと効率良く出会い転写因子XBP1sを産生するXBP1s mRNAになるのかを、約30種類の変異型XBP1 mRNAを作製し生化学的手法でmRNAの局在と産生蛋白質の性質を詳細に調べた結果、XBP1u mRNAは小胞体膜上に局在すること、スプライシングを受けてXBP1s mRNA型になると膜から遊離すること、XBP1u mRNAが膜に局在化するためには蛋白質が翻訳途上の必要があること、などが明らかとなった。さらにその他の実験結果を考慮すると、XBP1u mRNAは自身の蛋白質にあるHR2領域を利用して膜に局在化し、ストレス下でIRE1αが活性化するとすぐにイントロン部分が切り取られ、XBP1s mRNAとなり膜から遊離して転写因子活性をもつXBP1sを合成し、その下流に位置する構造異常タンパク質を修復する系を効率よく稼動することが明らかとなった。研究結果は米科学誌Mol Cellに掲載されること、また内容的にも高く評価されPreviewで紹介されるとともに、Mol Cellの表紙にも採用されることとなった。
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Research Products
(21 results)