2010 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスセンサーIRE1によるシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
20380062
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (50142005)
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Keywords | ストレス / シグナル伝遠 / 細胞・組織 / 蛋白質 / 動物 |
Research Abstract |
1 IRE1βの生理機能 哺乳動物の消化器系でのみ発現されている小胞体ストレスセンサーIRE1βの生理機能を、IRE1β遺伝子欠損(KO)マウスを用いて解析した。IRE1βは腸・胃などのムチン産生細胞である杯(さかずき)細胞で特異的に発現しており、IRE1βKOマウスの杯細胞では、2型ムチン前駆体が大量に小胞体に蓄積しており小胞体の極度の肥大化が観察された。HeLa細胞に野生型や変異型IRE1βを発現させその影響を詳細に調べた結果、IRE1βは小胞体膜上に集まる膜蛋白質や分泌蛋白質のmRNAをある割合で切断する可能性があること、その切断によりムチンmRNA量の微妙な制御を行なうこと、KOマウスではムチンmRNAの代謝回転が遅くなっていること、など様々な実験データから、IRE1βはそのRNase活性を利用して新生ムチン蛋白量が適正になるようmRNAを切断することにより微妙な調整をしているのではないか、と強く示唆するデータを得た。 2 XBP1mRNAの特殊スプライシング機構 一方、必須遺伝子のIRE1αは転写因子前駆体をコードするXBP1u mRNAを2カ所で切断し特殊なスプライシング反応を開始することがわかっているが、切断後の両者をつなぐリガーゼが未だ単離されていなかった。今回ウサギ赤血球抽出液中にこのリガーゼ活性を見出し、この反応を試験管内で再構成することに成功した。さらにこの哺乳動物のRNAリガーゼによるさXBP1mRNAの連結反応は、ホスホジエステル結合形成の過程で、酵母で報告されているHAC1mRNAスプライシング機構とは異なる反応で行われていることが明らかとなった。
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Research Products
(17 results)