2010 Fiscal Year Annual Research Report
阻害剤分子プローブの創製に基づくミトコンドリア複合体-Iの膜ドメイン機能の解明
Project/Area Number |
20380068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三芳 秀人 京都大学, 農学研究科, 教授 (20190829)
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Keywords | ミトコンドリア / 複合体-I / 阻害剤 / 光親和性標識 |
Research Abstract |
ミトコンドリア複合体-Iにおける阻害剤の作用部位は、膜ドメインの中枢機能を担っている反応場(ホットスポット)であると考えられることから、独自に合成開発した天然型アセトゲニン型阻害剤プローブの結合部位を光親和性標識法により同定することを目的に研究を行った。 アセトゲニンのラクトン環部に光反応性基を有する[^<125>I]TDAを合成し、このプローブ分子が複合体-Iの膜ドメインと親水性ドメインの境界部分に位置するND1サブユニットに特異的に結合することを明らかにした。さらに、各種のプロテアーゼを組み合わせた限定ペプチド消化を行い、ペプチドマッピングを行ったところ、[^<125>I]TDAはND1サブユニットの第4番目あるいは第5番目の膜貫通ヘリックスに位置していることがわかった。 さらに、アセトゲニンのTHF環部に光反応性基を有する[^<125>I]DAAを合成し、光親和性標識法によりTHF環部の結合部位の同定を行った。その結果、[^<125>I]DAAもND1サブユニットに特異的に結合することがわかり、ペプチドマッピングを行ったところ、ND1サブユニットの第6番目と第7番目の膜貫通ヘリックスを結ぶループ領域に結合することを明らかにした。阻害剤結合部位をサブユニット以下のレベルで明らかにしたのはこの研究が初めてである。 以上を総合すると、アセトゲニンの2つのファーマコフォアーはいずれもND1サブユニットに結合していることが明らかになった。酵素のこの位置を占めることによって、膜ドメインと親水性ドメインの相互作用を遮断することにより阻害効果を発揮していることがわかった。
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