2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸内共生菌とプロバイオティクスによる感染とアレルギーの制御
Project/Area Number |
20380079
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上野川 修一 Nihon University, 生物資源科学部, 教授 (50011945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細野 朗 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70328706)
高橋 恭子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70366574)
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Keywords | 腸管 / 腸内共生菌 / 免疫 / 感染 / アレルギー |
Research Abstract |
宿主にとっての生体外異物である腸内共生菌は,完全に排除されることなく腸管内に共生できるとともに,腸管組織形成や腸管免疫系の応答に影響を与えていると考えられている.特に,腸内共生菌が感染防御に重要な免疫グロブリンA(IgA)産生を活性化することが知られている.本研究では,腸管免疫系の感染防御に重要なIgA産生誘導に与える腸内共生菌の影響を解析した.マウス小腸パイエル板(PP)細胞のin vitro培養系にマウス腸内共生菌(Bacteroidesの8菌種、Escherichia coli、Lactobacillus,Enterococcus)を添加して検討したところ,PP細胞のIgA産生やIgA形質細胞の発現を強く誘導したのはBacteroides属の8株であり,さらにグラム陰性菌のBacteroidesおよびE.coliはいずれもIL-5産生を高める傾向を明らかにした.さらに,B.acidifaciens strain A43(BA)とL.johnsonii(LJ)をそれぞれ無菌マウスに単独定着させたノトバイオートマウスを作製したところ,PP細胞のIgA産生に与える影響は,無菌マウスのPP細胞よりもBA定着マウスのPP細胞の方がBAやLJなどの細菌に対するIgA産生は高く,菌体特異的なIgAの産生も高かった.すなわち,Bacteroidesはマウス腸内で排除されずに共生できる最優勢菌の一つであり,Bacteroidesが感染防御に重要なIgA産生を活性化することで,腸管粘膜に侵入した病原菌などの迅速な排除や適正な腸内共生菌の維持を通して,腸内環境の恒常性に寄与している可能性が考えられた.さらに,アレルギー反応との関わりの深いマスト細胞は無菌マウスにおいて血中のマスト細胞数の割合が通常マウスより高く,腸内細菌の刺激により,骨髄由来マスト細胞のIgEと抗原により誘導される脱顆粒応答が抑制されたことから,腸内共生菌がアレルギーに伴う炎症反応の制御に強く関わっていることを明らかにした.
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Research Products
(38 results)
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[Presentation] Bacteroides の刺激を受けたパイエル板細胞におけるIgA誘導の特徴2010
Author(s)
大山尭人, 細野朗, 鈴木あみ, 柳橋努, 津田真人, 八村敏志, 高橋宜聖, 伊藤喜久治, 平山和宏, 高橋恭子, 上野川修一
Organizer
日本農芸化学会2010年度大会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20100327-20100330
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[Presentation] 食物アレルギー性腸炎形成と寛容獲得での腸管パイエル板の役割2010
Author(s)
足立(中嶋)はるよ, 藤村陽子, 菊池智, 五関正江, 木原美蘭, 野地智法, 倉島洋介, 國澤純, 佐藤隆一郎, 上野川修一, 清野宏, 八村敏志
Organizer
日本農芸化学会2010年度大会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20100327-20100330
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[Presentation] Bacteroides を定着させたノトバイオートマウスのパイエル板細胞は他の腸内共生菌の刺激に対しても効率的にIgA産生を誘導する2010
Author(s)
大山尭人, 細野朗, 鈴木あみ, 柳橋努, 津田真人, 八村敏志, 高橋宜聖, 伊藤喜久治, 平山和宏, 高橋恭子, 上野川修一
Organizer
第43回日本無菌生物ノートバイオロジー学会総会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20100121-20100122
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[Presentation] 抗原の経口摂取により誘導されるCD62L/CD44発現の異なる制御性T細胞の抑制機能/Regulatory function of T cells with different expression pattern of CD62L/CD44, induced by oral administration of antigen2009
Author(s)
村上仁, 八村敏志, 田邊康祐, 足立(中嶋)はるよ, 津田真人, 若月芳雄, 佐藤隆一郎, 高橋恭子, 細野朗, 上野川修一
Organizer
第39回日本免疫学会総会・学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20091202-20091204
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[Presentation] CD3^-IL-2R^+ Peyer's patch cells respond to microbial stimuli, migrate to the lamina propria, secrete IL-5, and induce IgA production2009
Author(s)
UMEDA Yukiko, OGAWA Shimpei, KURAOKA Masayuki, TAKAHASHI Yoshimasa, ITOH Kikuji, YAMADA Kiyoshi, KOURO Taku, TSUJI Noriko M, HOSONO Akira, TOTSUKA Mamoru, TAKATSU Kiyoshi, KAMINOGAWA Shuichi, SATO Ryuichiro, HACHIMURA Satoshi
Organizer
The 14th International Congress of Mucosal Immunology(ICMI 2009)
Place of Presentation
Boston, Massachusetts, USA
Year and Date
20090705-20090709
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