2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来多硫化アルケニルの生体内挙動とその分子標的に関する研究
Project/Area Number |
20380080
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
有賀 豊彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50096757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20187834)
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (80445741)
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Keywords | Garlic / Sulfide / Cancer |
Research Abstract |
我々はネギ属植物の食品機能陸にかかわる分子メカニズムを検討してきた。その中で多硫化スルフィドであるジアリルトリスルフィド(DATS)が細胞骨格タンパクのβチュブリンを酸化的に修飾し、重合を妨げることを見出した。ガーリック由来のallyl系sulfideのうちdiallyl monosulfide,diallyl disulfideには顕著な効果を示さないのに対して、DATSのみがヒト単球系白血病細胞U937に対し顕著な増殖抑制作用を示した。またDATSはU937細胞内にROSを発生させた。分子内にチオール基を含まない抗酸化剤はDATSによるU937のアポトーシスを抑制しなかったのに対し、分子内にチオール基を持つ化合物はアポトーシスを完全に抑制した。DATSはチオール基と反応性が非常に高いことから、DATSによるアポトーシスの誘導にはチオール基の修飾が関与していることが示唆された。DATSは、細胞内のレドックス制御において中心的な役割を担うサイオレドキシンのシステイン残基を修飾することを明らかにした。DATSはヒト大腸がん細胞のチュブリン分子のシステイン残基をS-allyl修飾することが確認されているがサイオレドキシンに対してはS-allyl修飾ではなく、分子内ジスルフィド結合の形成による酸化型の生成が示唆された。DATSによるレドックス制御とアポトーシスシグナル伝達経路の活性化との関連が解明されることにより、機能性食品への応用や新しい抗がん剤の開発が期待される。
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Research Products
(5 results)