2010 Fiscal Year Annual Research Report
北方森林土壌において温暖化が及ぼす微生物と原生生物の群集構造変化と連鎖関係
Project/Area Number |
20380082
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笠原 康裕 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (20273849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 学 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60305414)
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Keywords | 微生物 / 原生生物 / 群集構造 / 環境変動 / 北方森林 / 土壌温暖化 |
Research Abstract |
本研究は、北方森林土壌生態系と温暖化の影響を理解するために、年間を通じて周りより地温を5度上昇させた野外温暖化処理区と無処理区を対象に、微生物と原生生物の群集構造、微生物と原生生物の捕食連鎖関係について解析を行う。 1.2006年11月から2010年8月の4年にわたり計19回のサンプリングを行い、土壌微生物群集の変動モニタリングを行った。標準マーカー遺伝子に16S rDNAを使用し、PCR-DGGE法によるパターン解析を行った。温暖化処理開始から現在まで、DGGEパターンに変化は観察されなかった。また、処理区と無処理区の比較からも、顕著な相違は観察されなかった。森林土壌において5度の加温撹乱は土壌微生物の群集構造にほとんど影響を与えていないと考えられる。次世代シークエンサーを用いて環境16Sr DNAのディープシークエンスによる詳細な微生物構造解析を準備中である。 2.原生生物群集解析において、繊毛虫の18S rDNA特異的配列のプライマーを用いたPCR-シークエンシング法を確立した。18S rDNAのユニバーサルプライマーを用いたPCR後、繊毛虫特異的配列プライマーによるnested PCR法により、クローン数(約800)の96%以上が繊毛虫に同定された。 3.環境変動と微生物群集構造変化のさらに深い理解を行うために、土壌中の微生物群集の機能変化を発現タンパク質変化に着目してメタプロテオミクスの基盤構築を行った。土壌中の微生物の発現タンパク質変化をSDS-PAGEと質量分析計の組合わせによる解析法を確立した。芳香族炭化水素分解細菌を接種した土壌を培養し、経時的なサンプリング、直接法と間接法(細胞分画)による環境タンパク質の抽出から、炭化水素分解細菌の分解関連タンパク質群を同定することができ、分解以外の代謝系の比較解析も可能となった。
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