2009 Fiscal Year Annual Research Report
極端な葉フェノロジー多型の進化適応的意義と種の絶滅・侵入リスク評価
Project/Area Number |
20380093
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
THOMAS・TING Lei Ryukoku University, 理工学部, 教授 (00388159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮浦 富保 龍谷大学, 理工学部, 教授 (90222330)
近藤 倫生 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (30388160)
河原 孝行 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, グループ長 (70353654)
山下 直子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (70353901)
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Keywords | ジンチョウゲ属 / フェノロジー様性 / 適応進化 / 適応戦略 / 生理生態特性 / 炭素収支モデル / 分子系統 / 保全状況 |
Research Abstract |
ジンチョウゲ属の系統解析をおこなうために、葉緑体ゲノムの領域(rbcL、matK)、イントロン(trnL-trnF, psaB-rp14, rp114-rps16, trnH-psbA)について解析した。その結果、常緑のものが落葉性のものよりも起源が古いことが示唆された。また、夏緑性のものは、常緑性のものから分化したことが明らかとなった。冬緑性のオニシバリ(D.pseudo-mezereum)は、夏緑性のチョウセンナニワズ(D.koreana)から分化したと考えられた。これらの結果から、ジンチョウゲ属の進化の方向性について検討すると、祖先種は常緑で耐陰性があり、その次に夏緑性の種がopenな場所や石灰岩地などの他種との競争のあまりない場所に広がり、耐陰性を失ったと考えられる。その後、より分化の進んだ種が落葉広葉樹林に広がり、光に対して敏感な特性をもつことから生育場所の光環境に適応するために、冬緑性のフェノロジーを獲得していったと考えられる。ジンチョウゲ属の年間のCO2収支、成長についてモデル化するために、4種の生育環境データの測定(光環境、気温、土壌水分について、1種につき2生育地)を継続した。各種の環境への適応能力を評価するためのモデル作成を開始した。このモデルを用いて、種の最適な生育環境および生育が限界となる環境を予測することができる。また、種の潜在的分布域と実際の分布域を比較することにより、現在の環境条件下での脆弱性や、将来の気象変化が集団の安定性にどのようなインパクトを与えるかを解析する。
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Research Products
(1 results)