2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹木木部柔細胞の過冷却促進物質の網羅的構造同定と大量獲得法の検討
Project/Area Number |
20380099
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤川 清三 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (50091492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福士 幸治 北海道大学, 大学院・農学研究院, 講師 (60218906)
荒川 圭太 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00241381)
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Keywords | 樹木木部柔細胞 / 過冷却促進物質 / 氷核形成阻害物質 / フラボノール配糖体 / ケンフェロール / 有機合成 / 抽出物 |
Research Abstract |
我々は先の研究で、樹木の木部柔細胞内には多様な過冷却促進(氷核形成阻害)物質が存在することを示した。これらの事実は、メタノールで樹木木部から抽出した粗抽出物を液-液分離すると、水と酢酸エチル、両フラクションに過冷却活性があること、さらに酢酸エチルフラクションをシリカゲルカラムで分離すると、分離された17フラクションのすべてに過冷却活性があることによる。先の研究で同定した1〜17フラクション中、フラクション10からは高いか冷却活性を示す4種類のフラボノール配糖体を同定したが、今回は新たにフラクション6から14までの活性物質を調べた。この結果、活性物質はいずれもフラクション10で見いだされたフラボノール配糖体であることを明らかにした。しかし、過冷却活性は同定したフラボノール配糖体単独により得ちれるのでは無く、各フラクションに存在する未同定物質との相互作用によることを明らかにした。このため、現在、フラボノール配糖体との相互作用により過冷却活性を高める未同定物質の解明を進めている。 また、同定されたフラボノール配糖体と類似の構造を持つ物質の過冷却活性を測定して、水を過冷却させる物質の構造特性の解明を行っている。 過冷却促進物質の大量生産のための予備実験として、ナリンゲニンを出発物質としてケンフェロールー7-0-グルコシドの有機合成を行った。今後、さらに収量を上げる検討を行う。併せて、文献的に最も多量にケンフェロールー7-0-グルコシドを含むと考えられる笹繭からの抽出による大量獲得法を検討している。
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