2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物バイオマス資源からの均一ナノファイバー製造に関する基盤技術の構築
Project/Area Number |
20380101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 浩之 Kyoto University, 生存圏研究所, 教授 (80192392)
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Keywords | セルロース / ナノ材料 / バイオマス / ナノファイバー |
Research Abstract |
本研究では、様々なバイオマス資源について、ナノファイバー化の難易、複合材料原料としての適性(ポリマー中での分散性、耐熱性、補強特性、等)を統一的に明らかにすることを目的とする。さらに、それらに基づき、様々なバイオマス資源について応用できる、均質で機械的劣化の少ない構造用ナノファイバーを効率的に製造するための基盤技術(汎用技術)を構築する。今年度は、木材(ベイマツ)、稲ワラ、ジャガイモ絞りかす(柔細胞)を原料とし、原料とセルロースナノファイバーの構造、機械特性の関係について検討した。これらの原料からリグニン、ヘミセルロース、デンプン等を除去後、同じ条件でグラインダーによる解繊処理を行った。木材からは12-20nm、稲ワラからは12-35nm、ジャガイモ柔細胞からは12-55nmの均一ナノファイバーがそれぞれ得られた。ナノファイバーシートに関するX線解析より、これらの原料間ではナノファイバーの結晶性には差がないことが明らかとなった。また、同様にシートの引張弾性率、引張強度においても有意な差は認められなかった。以上のことから、木材や稲ワラにおいて構造支持体としての役割を果たしている細胞組織とジャガイモにおいてデンプンの貯蔵の役割を果たしている細胞組織とでは細胞の機能は異なるが、その基本骨格であるセルロースナノファイバーの特性についてはほぼ同じであるといえる。このことは、どのような植物資源からも、高性能のセルロースナノファイバーが抽出出来ることを示唆するものである。さらに、竹の繊維および柔細胞からのセルロースナノファイバー抽出を試み、それらの形状、ナノファイバーシートの機械特性を評価した。両者においても明確な差は認められなかった。
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Research Products
(4 results)