2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物バイオマス資源からの均一ナノファイバー製造に関する基盤技術の構築
Project/Area Number |
20380101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80192392)
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Keywords | セルロースナノファイバー / ビーズミル / 比表面積 / グラインダー / パルプ / バイオマス資源 |
Research Abstract |
様々なバイオマス資源からグラインダー処理で製造したセルロースナノファイバー(CNF)のモルフォロジーおよび力学特性について検討した結果、原料によらず20-50nm程度のナノファイバーが得られること、それらの弾性率や結晶性には大きな差異が無いことが明らかになった。さらに、脱リグニン処理した木粉を高速ブレンダーにより撹拌することで、グラインダー処理と同等のナノファイバーが得られることが明らかになった。これらの成果を踏まえ、本年度は、ビーズミルによる新規のナノ解繊技術について試みると共に、その効果を他の解繊技術と比較した。試料は60mesh以下のスギ木粉(Cryptomeria japonica)を用いた。この木粉に対し抽出成分の除去、脱リグニン処理および脱ヘミセルロース処理を行った。得られたパルプ状試料に蒸留水を加え適当な濃度に調製したスラリーをバッチ式ビーズミルによる解繊処理に供した。粉砕媒体であるビーズは、直径の異なる3種類(0.5mm、1mm、2mm)のジルコニアビーズを用いた。処理条件を変えて得られたそれぞれのCNFについて、FE-SEMによる形態観察と共に窒素ガス吸着による比表面積測定(解繊度の評価)、X線回折(結晶性の評価)等の分析を行った。同様の検討をグラインダー処理、高圧ホモジナイザー処理についても行った。いずれのビーズ径でも時間の経過とともに比表面積値が上昇し、木粉パルプのナノ解繊が進んでいることがわかった。また各処理時間において、1mmビーズを用いた場合が最も大きい比表面積値を示した。X線回折のパターンから算出した結晶化度に関しては、ビーズ径の違いによる差は認められず、いずれのビーズ系でも同様の解繊に伴う結晶性低下がみられた。ビーズミルは、グラインダー法に比べ生産効率に優れており、また、高圧ホモジナイザーより均一なナノファイバーを得やすいことが示唆された。
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Research Products
(3 results)