2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20380106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 和也 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 名誉教授 (40282082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吾妻 行雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (50292256)
李 景玉 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (60419231)
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Keywords | マコンブ / フシスジモク / 生活年周期 / 成長 / 成熟 / 水温 / 栄養塩 / 光合成 |
Research Abstract |
高水温・貧栄養な海況が20年以上も継続する現在、磯焼け、すなわち潮下帯で海中林の形成が阻害される現象は、無節サンゴモ群落中に増加するウニの摂食圧だけでなく、窒素・リンの供給不足によると考えた。そこで、過去60年以上も磯焼けが持続する北海道日本海泊村沿岸の約0.5haの磯焼け域2ヵ所でホソメコンブ群落の形成を目的に、10月から12月にウニを除去し、北海道南茅部産マコンブ種苗を部分的に巻き付けた養殖ロープを11月に垂下した。以後翌年5月まで、対照区ではそのまま、実験区では無機態窒素濃度1mg/L、リン濃度0.3mg/Lを目標に、硫安の液肥を連続的に供給した。調査期間の水温は平年より1~3℃も高く推移した。栄養塩濃度は、対照区では最高でも窒素0.1mg、リン0.01mgで外海と等しかったが、実験区では窒素0.5~2.4mg、リン0.03~0.1mgと高かった。実験区では、養殖ロープには1月から移植マコンブとともに天然ホソメコンブが濃密に着生し、2月から海底にも紅藻ダルス、褐藻カヤモノリなどとともにホソメコンブが生育した。しかし、対照区ではホソメコンブは養殖ロープ、海底ともまったく観察できず、移植マコンブも死亡した。5月の実験区の養殖ロープ着生ホソメコンブは全長197cm、葉幅12cm、湿重量193gと移植マコンブと有意差がなかった。海底に生育したホソメコンブは全長58cm、葉幅10.7cm、重量33gと養殖ロープ上より劣ったが、実験区近傍から採集した天然ホソメコンブよりいずれも有意に大きかった。以上の結果、地球温暖化が進行し、高水温・貧栄養の海況が継続する現在、植食動物の摂食圧を排除するだけでは海中林は造成できないことが明らかになった。無機の栄養塩を供給し、コンブの生育を促進することが必須の要素記述となる。
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[Presentation] 磯焼け域におけるウニ駆除と栄養塩添加によるホソメコンブ群落の造成2009
Author(s)
吾妻行雄, 鹿又郁美, 池森力, 吉田茂樹, 武内良雄, 藤島浩晃, 中島和彦, 佐野満廣, 金崎伸幸, 今井久益, 山元直樹, 金濱博樹, 松原高司, 高橋智, 磯貝辰彦, 谷口和也
Organizer
2009年度日本水産学会秋季大会
Place of Presentation
いわて県民情報交流センター・アイーナ(盛岡市)
Year and Date
2009-10-01
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