2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を利用した魚類汎用連鎖解析システムの開発
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20380107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 潔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20292790)
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Keywords | トラフグ / メダカ / 棘鰭上目魚類 / ゲノム / 比較ゲノム / 進化 / 連鎖地図 / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非モデル魚類の連鎖解析および集団遺伝学的解析を容易にするため、ゲノム上の位置があらかじめ推定されていて、かつ、多くの魚類で使用可能な多型マーカー座を開発することである。本年度は以下の成果を得た。 トラフグのゲノム地図の公開 ターゲットマップ法により、トラフグゲノム概要を染色体レベルまで再構築して、これを、標準的なゲノム情報フォーマットであるEnsembl形式で公開した(Fugu version5, http://www.fugu-sg.org/)。この地図にはゲノム概要の83%がマップされている。 モデル魚類の比較ゲノム解析による汎用多型座の同定 トラフグ、ミドリフグ、トゲウオ、メダカのゲノム間で高度に保存されているリピート座を、比較ゲノム解析で網羅的に同定した。その結果、4魚種間でよく保存された二塩基リピート座が数千個の単位で存在することが分かり、汎用マーカー作製が現実的であることが示された。 非モデル魚類における汎用マーカー座の多型 染色体上の位置を考慮して54個のマーカーを選び、野生のマサバ、マダイ、ヒラメを解析したところ、それぞれ魚種で29-40%のマーカーがリピート多型を示した。汎用マーカーが非モデル野生魚の集団遺伝学的な解析に利用できることが分かった。 汎用マーカー座を用いた非モデル魚類における連鎖地図の作製 解析用のマサバ一家系において、上記の54マーカーのうち、8個のマーカーがリピート多型を示した。これらを用いることにより、トラフグの第3と第9染色体に対応するマサバの連鎖地図を得ることができた。マサバゲノム配列を読む必要は全くなかった。以上、棘鰭上目魚類間には高度に保存されたリピート座が多数存在し、これらが遺伝解析に利用可能であることが示された。
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Research Products
(11 results)