2008 Fiscal Year Annual Research Report
潮汐を産卵同期に利用する魚類における干満情報の脳内処理・統合ネットワークの解明
Project/Area Number |
20380114
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (40222103)
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Keywords | サンゴ礁 / 熱帯 / アイゴ / 年周期 / 産卵 / 組織学 |
Research Abstract |
本研究は、潮汐性のリズムが顕著に現れるサンゴ礁性のベラ科魚類(ミツボシキュウセン)を実験材料に用い、潮汐や明暗情報が内因性のリズムに転換される道筋を明らかにすることを目的として行われた。本年度は脳内モノアミン量の日周及び潮汐(圧力)変動に関して研究を行った。 ミツボシキュウセン全脳抽出物中のモノアミン(Dopamine;DA及びSerotonin及びその代謝物)量の日周変動を調べた。その結果、Serotoninおよびその代謝物には日周変化は認められなかった。一方、DAは日入り前後で有意に上昇した。DAの代謝産物(3,4-dihydroxyphenylacetic acid; DOPAC)は昼に局く、夜に減少したのに加え、DAの代謝率(DOPAC/DA)も夜に減少した。DAの代謝率の変化は人為的な恒暗条件下でも継続したため、生物時計の関与が考えられた。網膜内メラトニン量の変化を測定した結果、この値は夜間に高く昼に下がることが判明した。ミツボシキュウセンへのメラトニン投与は、脳内DA代謝率を減少させたことから、夜間に上昇するメラトニンがDAの代謝に関与している可能性があった。 ミツボシキュウセンを水面(0m)と水底(3m)で飼育し、全脳抽出物中のDA代謝率を比較した。その結果、水底で飼育した魚のDA代謝率は昼間及び夜間のいずれにおいても水面のそれよりも減少した。この結果は、様々な潮汐条件のうちの水圧が、脳内モノアミンの変化に影響を当たる可能性を示す。ミツボシキュウセンは明確な日周活動リズムを持ち、昼間は活発に泳ぎ回るが夜は砂に潜るため、夜間に受ける潮汐変化(水圧変化)を感じ取ることが可能かもしれない。 魚類において脳内DAは生殖腺刺激ホルモン分泌に関して阻害的に働くことが知られている。夜間もしくは潮汐によって起こるDAの代謝率の低下は脳下垂体からの生殖腺刺激ホルモンの分泌と関連を持っているのかもしれない。
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Research Products
(10 results)