2010 Fiscal Year Annual Research Report
潮汐を産卵同期に利用する魚類における干満情報の脳内処理・統合ネットワークの解明
Project/Area Number |
20380114
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 琉球大学, 理学部, 教授 (40222103)
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Keywords | サンゴ礁 / ミツボシキュウセン / 潮汐 / 日周性 / ステロイドホルモン / アルギニンバソトシン / イソトシン / メラトニン |
Research Abstract |
本研究は、潮汐性の毎日産卵リズムが顕著に現れるサンゴ礁性のベラ科類(ミツボシキュウセン)を主たる実験材料に用い、潮汐や明暗情報が内因性のリズムに転換される道筋を明らかにすることを目的として行った。本年度は潮汐(静水圧付加)に関与する遺伝子の探索と潮汐性と日周性の関連について研究を行った。昨年度までの結果からドーパミン代謝が静水圧で変動することを明らかにしたので、ミツボシキュウセンを水面(0m)と水底(3m)の静水圧差で飼育して、静水圧で変動するドーパミン代謝関連遺伝子を探索した。その結果、ドーパミン代謝に関連するモノアミン酸化酵素遺伝子の脳内発現量が静水圧付加前後で変化した。脳内ペプチドホルモンのうちアルギニンバソトシンとイソトシン遺伝子の脳内発現量は日周変動しており、いずれの遺伝子の発現も昼に高く夜に低くなった。メラトニン投与は脳内アルギニンバソトシン発現量を減少させたことから、メラトニンがアルギニンバソトシンの日周変動を制御している可能性があった。さらにメラトニンはミツボシキュウセンに睡眠様の行動(遊泳活動の停止と呼吸量の低下)を誘導した。この効果はアルギニンバソトシンを同時投与することによって減衰した。以上の結果から、ミツボシキュウセンの日周活動リズムにはメラトニンとアルギニンバソトシンが関与していることが考えられた。夜間の潜砂による環境光変動からの隔離が安定した睡眠(休息)を誘導し、この間に受ける潮汐変化(水圧変化)が潮汐性の毎日産卵活動同期に重要であることが示唆された。
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Research Products
(9 results)