2008 Fiscal Year Annual Research Report
フグ毒テトロドトキシンの体内動態とテトロドトキシントランスポーターの解明
Project/Area Number |
20380120
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
長島 裕二 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 教授 (40180484)
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Keywords | フグ / フグ毒 / テトロドトキシン / 体内動態 / 薬物動態解析 / トランスポーター |
Research Abstract |
フグがフグ毒テトロドトキシン(TTX)をもち、その毒は食物連鎖を介した生物濃縮により毒化すると考えられているが、経口的に取り込まれたTTXがフグの体内でどのようにして、どのようなメカニズムで肝臓や卵巣などの特定部位に蓄積するのかは依然不明である。そこで本研究では、トラフグを試料魚にしてTTXの体内動態を薬物動態学的手法により解析し、さらに、肝臓におけるTTX取込みを担う輸送担体トランスポーターの特定を試みた。 1) トラフグにおけるTTXの体内動態: TTX溶液(0.25mgTTX/kg体重)をトラフグ(体重約1kg)の静脈、肝門脈、消化管からそれぞれ急速単回投与して血中TTX濃度変化を調べた。その結果、静脈および肝門脈投与の場合、血中TTX濃度推移は分布相と消失相を示した。投与5時間後には投与したTTXの70%以上が肝臓から回収された。しかし、肝臓への取込み効率を表す肝抽出率は9%と低かった。一方、消化管投与(0.25mgTTX/kg体重)の場合、血中TTX濃度推移は一次吸収過程を示し、バイオアベイラビリティーは62%であった。しかし、0.5mgTTX/kg体重以上の投与では消化管吸収は飽和することが示唆された。これらの結果から、トラフグに経口的に摂取されたTTXは消化管から効率よく吸収され、血液で運搬され、肝臓に蓄積される様子が初めて薬物動態学的に解析された。 2) トラフグ肝臓TTXトランスポーターの特定: TTXを筋肉投与したトラフグと非投与トラフグの肝臓からそれぞれmRNAを精製してcDNAサブトラクションライブラリーを作成し、TAクローニング法を用いてTTX投与によって発現誘導された遺伝子群をスクリーニングした。cDNAライブラリーから142クローンを得て、BLASTならびにフグゲノムデータベース検索したところ、多くはペプシジン前駆体、フィブリノーゲンや生体防御関連遺伝子と同定され、1クローンが芳香族アミノ酸トランスポーターと同定された。この結果を受けて、アミノ酸トランスポーターを候補と考えTTXトランスポーターの特定を行っている。
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Research Products
(6 results)