2009 Fiscal Year Annual Research Report
フグ毒テトロドトキシンの体内動態解析とテトロドトキシントランスポーターの解明
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20380120
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
長島 裕二 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 教授 (40180484)
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Keywords | フグ / フグ毒 / テトロドトキシン / 血漿タンパク質結合 / 血液運搬 / 薬物動態解析 / cDNAサブトラクション |
Research Abstract |
フグがフグ毒テトロドトキシン(TTX)をもち、その毒は食物連鎖を介した生物濃縮により毒化すると考えられているが、経口的に取り込まれたTTXがフグの体内でどのようにして、どのようなメカニズムで肝臓や卵巣などの特定部位に蓄積するのかは依然不明である。そこで本研究では、トラフグを試料魚にしてTTXの体内動態を薬物動態学的手法により解析し、さらに、肝臓におけるTTX取込みを担う輸送担体トランスポーターの特定を試みた。今年度はおもに以下の2点について研究を行った。 1)トラフグ血漿タンパク質とTTXの結合親和性:昨年度行ったTTXの体内動態解析の結果、消化管に投与されたTTXは効率よく吸収され、血液により運搬され、おもに肝臓に蓄積されることが明らかになった。そこで今年度は、循環血液によるTTX運搬がフグと他魚種で相違があるか調べることを目的に、トラフグおよびアイナメの血漿、ウシ血清アルブミン(BSA)およびウシα-1-酸性糖タンパク質(AGP)との結合親和性を評価した。その結果、TTXはトラフグおよびアイナメの血漿タンパク質と非飽和的に結合し、結合型TTX量はトラフグがアイナメに比べ約2倍多かったが、TTXは魚類血漿中においてほとんどが遊離型で存在することがわかった。また、TTXはBSAとAGPにも結合し、これらの結合型TTX量はトラフグの値を上回った。以上の結果から、TTXはフグ科魚類の血漿タンパク質以外にも非特異的に結合し、血液運搬においてはフグの特異性はないものと考えられた。 2)トラフグ肝臓TTXトランスポーターの探索:昨年、TTXを筋肉注射したトラフグと非投与トラフグの肝臓からそれぞれmRNAを精製してcDNAサブトラクションライブラリーを作成し、TAクローニング法を用いてTTX投与によって発現誘導された遺伝子群をスクリーニングしたところ、そのほとんどが生体防御関連遺伝子であった。そこで今年度は、トラフグにTTX投与群とTTXを含まない緩衝液投与群を用いて、両群の肝臓におけるmRNAの発現量を比較することとした。現在、TTX投与で優位に発現した遺伝子を反映するcDANライブラリーから1000クローン以上を取得し、それらの遺伝子を解析中である。
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Research Products
(4 results)