2010 Fiscal Year Annual Research Report
フグ毒テトロドトキシンの体内動態解析とテトロドトキシントランスポーターの解明
Project/Area Number |
20380120
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
長島 裕二 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (40180484)
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Keywords | フグ / フグ毒 / テトロドトキシン / cDNAサブトラクション / ペプシジン / 生体防御 / 消化管吸収 / 反転腸管法 |
Research Abstract |
フグはフグ毒テトロドトキシン(TTX)をもち、食物連鎖を介した生物濃縮により毒化すると考えられているが、経口的に取り込まれたTTXがフグの体内でどのようにして肝臓や卵巣などの特定部位に蓄積するのかは不明である。そこで本研究では、トラフグを試料魚にしてTTXの体内動態を薬物動態学的手法により解析し、さらに、肝臓におけるTTX取込みを担う輸送担体トランスポーターについて検討した。今年度はおもに以下の2点について研究を行った。 1)トラフグ肝臓TTXトランスポーターの探索:TTXを筋肉注射したトラフグとTTXを含まない緩衝液を投与したトラフグの肝臓からそれぞれmRNAを精製し、TTX投与群で有意に発現または特異的に発現増加したmRNAを反映するトラフグ肝臓subtracted cDNAライブラリーを構築した。ライブラリーからプラスミドDNA 1136クローンを得て、1048クローンの塩基配列を同定した。最も多く得られたクローンはhepcidin前駆体(92クローン)で、次いで補体成分(63クローン)、serotransferin(30クローン)が多く、トランスポーター関連遺伝子は11クローンが得られた。 2)トラフグ消化管におけるTTXの吸収:トラフグ消化管におけるTTXの吸収を評価する方法として反転腸管法を検討した。トラフグから摘出し、反転させた消化管嚢に緩衝液を充填し、これをTTX含有緩衝液に浸漬したところ、反転消化管嚢中のTTX濃度は経時的に増加した。また、外液のTTX濃度を増加すると反転消化管嚢中のTTX濃度は増加する傾向を示したことから、トラフグ消化管がTTXを通過することがin vitro実験ではじめて実証され、反転腸管法はTTXの消化管吸収の測定に有望であることがわかった。
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Research Products
(4 results)