2010 Fiscal Year Annual Research Report
水産食品汚染リステリア・モノサイトゲネスのリスクの全容解明とその制御に関する研究
Project/Area Number |
20380121
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 凡 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (50262340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 肇 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (40413116)
久田 孝 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (00290081)
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Keywords | Listeria monocytogenes / 食中毒 / 病原性 / 水産食品 / ネギトロ |
Research Abstract |
1.遺伝子マーカーの精査 日本の臨床株(全国の病院から収集した患者分離株、国立医薬品食品研究所五十君博士から遺伝子分与)とこれまでに世界的に重篤な食中毒を引きおこした欧米の臨床株(米国コーネル大学M.Widman教授から分与)、わが国の水産食品分離株(東京海洋大学で分離)の3者を区別する遺伝子マーカーが存在するか否かを、パルスフィールド電気泳動ならびにMultilocus sequence typing(MLST)を用いて解析を行った。その結果、3者に明確な差がないことを明らかにした。 2.細胞培養実験 昨年度に引き続き、ヒト結腸癌由来細胞への感染力試験を行ない、細胞侵入性(細胞培養への菌接種→抗生物質ゲンタマイシン処理→細胞内へ侵入したL.monocytogenes菌数の測定)や細胞間伝播性(細胞のプラークアッセイ)を検討した。その結果、日本の食品分離株と世界の臨床株との間に顕著な差異が認められないことを明らかにした。 3.食品での増殖試験 本菌の食品中での制御法(保存料、日持ち向上剤等の組み合わせ)の開発を昨年度に引き続き行い、現在、日本の市販食品で最もよく用いられている保存料、日持ち向上剤の組み合わせよる最適条件を検討した。 以上の成果は、これまでに、国際的にチーズ、生ハム、スモーク魚など、欧米で食される非加熱喫食品に偏ってきたL.monocytogenesのリスク研究に、日本の食文化特有の非加熱喫食水産食品から高頻度で分離される本菌の詳細な病原性や遺伝性状を提示したものであり、世界のリステリア汚染食品の安全性を考える上で重要な情報の提供を行ったと判断できる。
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