2009 Fiscal Year Annual Research Report
産業廃棄物の不法投棄に起因する農業生産への影響低減化手法の開発
Project/Area Number |
20380130
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
颯田 尚哉 Iwate University, 農学部, 教授 (20196207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 貴浩 岩手大学, 農学部, 准教授 (00359499)
高木 浩一 岩手大学, 工学部, 准教授 (00216615)
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Keywords | 不法投棄 / 農業生産 / 臭素 / ヨウ素 / コマツナ / 成長阻害 / モニタリング / 水中放電 |
Research Abstract |
本研究は、青森岩手県境に実在する産業廃棄物不法投棄現場周辺の農地に生じる農業生産或いは生産環境への悪影響について、実態の把握と低減化手法を開発するものである。 1.不法投棄現場周辺環境水の無機態ヨウ素・臭素を形態別にモニタリングした。臭素酸イオンは、昨年度唯一検出された青森県側浸出水処理施設の放流水から検出されなくなった。ヨウ素酸イオンは、放流水では昨年より1桁以上低い数μg/L以下で検出された。またヨウ素酸は岩手側の井戸でも検出され、廃棄物に由来する井戸も示唆された。放流水のTOCは昨年度に比べ上昇し、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン濃度低下と合わせ、処理工程においてオゾン処理が停止されたことによると考えられた。 2.無機ヨウ素塩と人工土を用いて、コマツナの成長に及ぼす影響を検討した。苗の状態で50mg/L以上のヨウ化物イオン含有水に暴露されると、体高、乾燥重量ともに減少した。ヨウ化物イオンには成長抑制効果があり、濃度の上昇とともに抑制割合は大きくなった。ヨウ素酸イオンでは、成長阻害作用は200mg/Lの曝露濃度まであらわれず、臭素酸イオンと大きく異なった。ヨウ素酸イオンの場合、対になる陽イオンによる差異はなかった。 3.不法投棄現場の浸出水浄化のため昨年開発した水中放電電極について、3種類の金属で検討し、放電電極をタングステン電極、接地電極はステンレスとすると電極溶解の影響を無視できた。本年度はVOCであるジクロロメタン10mg-C/L溶液100mLを15分で90%以上処理できるリアクタを開発した。濃度の低下は曝気の効果が高いが、水中放電では単なる曝気よりもジクロロメタンの無機化が進行することが、TOCの濃度減少や塩化物イオン、水素イオン濃度の変化から明らかになった。ジクロロメタンの分解には、過酸化水素が重要であることもわかった。処理水に臭化物イオンが含まれる場合には、副生成物として臭素酸イオンが生成されるが、分解も起きることもわかった。
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Research Products
(15 results)