Research Abstract |
今年度は,具体的な地域を選定して,用水路が地形条件や土地利用と密接な関係があることを明らかにした上で,用水系のポテンシャル推計手法の妥当性を評価・確認して,論文としてとりまとめて投稿した。 さらに,必要情報の最小化を検討した上で,黒部川扇状地の農業用水システムの水路線形,期別取水量および10m標高メッシュデータのみを用いて,前年度までに確定した手順で小水力ポテンシャル推計用GISデータ整備し,この推計手法を用いて,黒東,黒西の農業用水システムを対象に小水力開発可能量(出力)を推計し,開発可能な出力がそれぞれ22,900kW,10,300kW,未開発がそれぞれ15,499kW,5,956kWになると見積もった。 また,小水力発電設備整備に必要となる水利施設利用や水利権・電気事業などに関わる許認可や諸手続きにおける要求事項および協議内容を把握・抽出・整理し,制度的な制約(農業基本法や土地改良法上の制約,電気事業法の制約など)を明らかにするとともに,前年度までに整理していた水車設備・発電設備設置に関わる技術的な制約や施工性などを再検討することで,種々の制約要因(技術の難易度,経済性など)を考慮した多様なポテンシャルの考え方を整理した。 最後に,研究最終年として,これまでの研究成果をベースに小水力発電開発を基軸とする農山村の自然エネルギー開発の可能性と課題について考究し,論文化して投稿した。また,本研究で収集・整備したデータや加工データはDB化し,とくに研究対象とした地域の水路線形や流量データはGISデータとして,公開可能な形態に整理した。今後は,関係者承諾を得ルことができれば,HPなどでの公開を検討する予定である。
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