2010 Fiscal Year Annual Research Report
次世代型ウシ飼養システムの創造:初期成長期の代謝インプリンティング機構の解明
Project/Area Number |
20380150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 貴文 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (70294907)
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Keywords | ウシ / 飼養 / 代謝インプリング |
Research Abstract |
平成22年度は草資源で良質かつ安全な牛肉を生産するシステム構築のためのウシの体質形成プログラとその後の粗飼料による肥育時の検討を行った。哺乳期の高タンパク質、高脂肪乳の強化哺乳と育成期の強化飼養の代謝インプリンティング効果が、より効率的な放牧肥育に影響するかどうかについて、最終的な肉質も含めて検討した。その結果、産肉性において枝肉重量で約14%以上の増加(インプリング区293kg、粗飼料のみ区256kg)、および肉質において筋内脂肪含量40%以上の増加((インプリング区13%、粗飼料のみ区9%)が認められた。肥育終了時における胸最長筋の筋線維型構成に両区間で差異はなかったものの、そのサイズはインプリング区で有意に大きかった。また筋内脂肪細胞のサイズもインプリング区で有意に大きくなっていた。すなわち代謝インプリンティングを施した牛群で産肉性に優れ、その肉質、特に脂肪交雑も有意に向上することが示唆された。ルーメン液の解析により、ルーメン内プロピオン酸生成加速効果が認められた。また、3、10、14、20および30カ月齢時にバイオプシーによって採取した筋サンプルを用いて、既知の肉量および肉質関連遺伝子群だけでなく、ウシDNAチップ解析および(ヒトではあるが)メチル化チップを用いて網羅的な遺伝子群の相互作用あるいは新規遺伝子の探索解析を行った。その結果、初期成長期の栄養処理によりメチル化動態に差異があることが明らかとなった。また、リアルタイムPCR解析とDNAチップ解析により、反芻獣の体質の代謝インプリンティングについて、当初、仮説していた脂肪代謝よりもグルコース代謝がより影響を受ける可能性を示す結果が得られた。以上、代謝インプリング効果と国内粗飼料をフルに活用した新規家畜飼養への応用についての基礎的知見を得た。
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Research Products
(9 results)