2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質の胎児期曝露による生後発癌リスクとそのエピジェネティク分子機構
Project/Area Number |
20380168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 誠一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00274837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 裕一 信州大学, 山岳科学総合研究所, 准教授 (80311330)
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Keywords | 有害化学物質 / ゲノム / 発生・分化 / 環境 / 薬剤反応性 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
1.胎児期TCDD曝露マウスの化学発癌感受性変化:胎児期TCDD曝露された動物の易発ガン性に関する詳細な解析を行った。妊娠マウスC57BL/6JにTCDDを投与、産仔の雌個体にBaPを連続投与した。病理解剖を実施したところ、BaPを投与した個体すべてにおいて前胃にPCNA強陽性の過形成が認められた。胎児期TCDD処理と対照群との比較したところ、TCDD処理群の形成率のほうが高いことがわかった。また、P32ポストラベル用によるBaP投与後48時間目の前胃ならびに肝臓のDNAアダクト形成率を比較したところ、TCDD処理群の形成率のほうが高いことがわかった。 2.CYP1A1プロモーター上のDNA低メチル化が起きる分子機構に関する解析:発見したCYP1A1低メチル化CpGが発生過程のどの時期に生じるのか、E12.5のTCDD曝露後の胎児、新生児、未成熟児の経時的観察を行ったところ、肝臓における低メチル化は生後1日目までは対照群と同じであったが、生後8日目で顕著な差が現れた。このことから、生後数日の間に低メチル化の臨界期があることが示唆された。この観測をもとに、生後1日、2日ならびに3日の肝臓サンプルを用いてDNAメチルトランスフェラーゼ(Dnmts)のうちDnmt1, Dnmt3a, Dnmt3bのCYP1A1プロモーターに対する結合をChIPアッセイで検討した。その結果、すべての生後ステージ、3種のタンパクすべてにおいて、TCDD投与群のほうがCYP1A1プロモーターに対する結合が弱まることが判明した。低メチル化はTCDDによるDnmtファミリーの結合減弱が原因と推察された。
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[Journal Article] When does the sex ratio of offspring of the paternal 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo p-dioxin (TCDD) exposure decrease : In the spermatozoa stage or at fertilization?2010
Author(s)
Ishihara K, Ohsako S, Tasaka K, Harayama H, Miyake M, Warita K, Tanida T, Mitsuhashi T, Namnori T, Tabuchi Y, Yokoyama T, Kitagawa H, Hoshi N.
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Journal Title
Reproductive Toxicology
Volume: 29
Pages: 68-73
Peer Reviewed
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