2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20380178
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
矢野 勝也 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00283424)
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Keywords | 不均一性 / 植物 / 適応 / 水 / リン / 窒素 / 酸性土壌 / hydraulic lift |
Research Abstract |
植物が野外で遭遇する環境は、実験室レベルの研究で採用されているような均一な環境条件とはほど遠く、むしろ不均一性を特徴としている。このような不均一な環境条件下における植物は、均一な環境条件で検証した実験結果からは演繹できないような振る舞いを示すことがある。たとえば、乾燥地で植物が深い根を発達させて地下水を吸収している一方で、気孔の閉鎖する夜間になると、根から表層の乾いた土壌に水を放出する現象(hydraulic lift)である。この現象をうまく制御すれば、農作物への灌漑手段としても応用できることを国際会議で発表した。さらに、hydraulic lift現象を利用して、植物の根を介した塩類除去の可能性を検証した。すなわち、根の一部にNaCl溶液を与えてhydraulic liftを起こさせ、放出する水の電気伝導度を測定することで、塩類除去機能の植物種間差を比較した。その結果、植物の根が放出する水は、量的のみならず質的(塩類濃度)にも大きな種間差があることを確認できた。土壌中での移動速度が極めて低いリン酸は、慣行として土壌の全面・全層に均一に施肥される場合が多い。を肥料として投入する場合、土壌に均一に与えるよりもむしろ不均一で局所的に与える方が、コムギの成長に有利となることを確認した。同時に、コムギ種子を高濃度リン酸溶液に浸積することでも局所施肥と同等の効果が得られたが、両処理を組み合わせても相加・相乗的効果は現れないことがわかった。次年度以降に必要となるキャピラリー電気泳動/質量分析装置を導入し、有機酸やイノシトールリン酸の最適な分析条件を探索した。
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[Book] 根の生態学2008
Author(s)
森田茂紀, 田島亮介(監訳)
Total Pages
364
Publisher
シュプリンガー・ファーラーク東京