2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物の小胞体タンパク質品質管理機構の分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
20380188
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小泉 望 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20252835)
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Keywords | 小胞体 / タンパク質の品質管理 / シロイヌナズナ / 転写因子 / シャペロン |
Research Abstract |
平成22年度は、1)小胞体ストレス応答におけるIRE1の役割、2)AtbZIP60とAtbZIP28の小胞体ストレス応答における役割の解明、3)Y1Hによる新たな転写因子の探索、4)病原菌感染応答と小胞体ストレス応答とのクロストークという4つの課題を設定して、研究を開始した。 4)についてはサリチル酸依存的にbZIP60の活性型が検出されることは確認できたが、フモニシンB1による活性化は再現性が見られなかったので、この実験は中断した。3)のY1Hによる新たな転写因子の探索については、実験系を構築したが、バックグラウンドが高く、スクリーニングが困難であっため、この実験も中断した。2)のAtbZIP28の活性化機構を調べるためにS1P、S2Pの遺伝子破壊株にGFP-AtbZIP28をコードする遺伝子を導入したトランスジェニックシロイヌナズナを作成した。このトランスジェニックシロイヌナズナの利用によりAtbZIP28の切断機構の解明が進むと期待できる。さらにAtbZIP28とAtbZIP60の二重変異体の作成を進めたが、現在まで両方の遺伝子がホモに破壊されたものはまだ単離に至っていない。両遺伝子の破壊が致死になる可能性も否定は出来ない。1)と2)の一部について大きな研究の進展が見られた。IRE1の二重変異体ではツニカマイシンに対する感受性の増大が見られた。さらにマイクロアレイ解析を行ったところ、二重変異体で誘導の落ちている遺伝子の多くが以前に我々が行ったAtbZIP60の遺伝子破壊株で誘導抑制が見られた遺伝子と共通していた。以上の結果からIRE1とAtbZIP60が同じ信号伝達系にあると予想され、実際にIRE1二重変異体ではAtbZIP60の活性化が見られなくなっていた。つまりAtbZIP60がIRE1の標的遺伝子であるという新たな知見が得られた。
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Research Products
(15 results)