2008 Fiscal Year Annual Research Report
有用な生理活性を示す多環性アルカロイドの革新的合成法の開発
Project/Area Number |
20390003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 英利 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (00282608)
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Keywords | 全合成 / アルカロイド / [3+2]付加環化反応 / ベンザイン / ディクチオデンドリン / ラジニラム / 抗腫瘍活性 / 保護基 |
Research Abstract |
本年度は、微小管に配位することにより抗腫瘍活性を示すラジニラム類の全合成に関して1, 3-双極子を用いたフェニルアセチレン誘導体との[3+2]付加環化反応を鍵工程とする全合成を達成することができた。すなわち、アスパラギン酸から既存の方法を参考にして導いた光学活性N-ホルミルピペコリン酸誘導体を、無水酢酸で処理してMunchnone中間体を生成させ、オルトニトロフェニルアセチレンと反応させたところ、望みの配向性でのみ[3+2]付加環化反応が進行し、脱炭酸を経て所望の置換ピロールが高収率で得られた。その後、9員環ラクタムの形成を経てラジニラムの光学活性体の全合成を達成した。また、テロメラーゼ阻害活性を示すことから新規抗腫瘍剤のリード化合物として注目されているディクチオデンドリン類について、ベンザインを経由する新たな多置換インドリンの合成法を確立し、ディクチオデンドリンBの合成とディクチオデンドリンAの初の全合成を達成することができた。さらに、その研究の過程で、フェノール性水酸基のベンジル保護の脱保護の条件として、三塩化ホウ素とルイス塩基性を示さないカチオン捕捉剤としてのペンタメチルベンゼンを組み合わせて一78度の低温下用いる新たな手法を開発した。本条件は、特に電子豊富な芳香環を有する化合物の脱ベンジル化に有効であり、本反応を全合成の終盤で用いたヤタケマイシンの全合成についてその詳細を発表した。
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