2008 Fiscal Year Annual Research Report
キラルビルディングブロックスの創製と生物活性多環式天然物の不斉全合成への活用
Project/Area Number |
20390006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中田 雅久 Waseda University, 理工学術院, 教授 (50198131)
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
当研究室で開発したα-ジアゾ-β-ケトスルホンの触媒的不斉分子内シクロプロパン化(CAIMCP)、パン酵母を用いる不斉還元により、5員炭素環、6員炭素環を含む光学的に純粋なキラルビルディングブロックスを創製した。これらを組み合わせて全合成を行うことにより、強いNGF合成促進活性を示す(-)-scabronine Aの高立体選択的骨格構築に成功した。また、同様の手法によりκ-オピオイド受容体の選択的アゴニストである(-)-erinacine Eの世界初不斉全合成に成功した。(-)-scabronine Aの合成研究においては、新しい酸化反応を見出し、(-)-erinacine Eの不斉全合成においては、アシル基の転位を伴う分子内ルドール反応を開発した。前者の反応については一般性を検討中であり、後者の反応はアシル基の転位がレトロアルドール反応を抑制し、歪のかかった環状構造を構築可能とするため、一般性のある手法として開発するべく検討を進めている。 メチル基とアリール基の置換した四級炭素を有するマロン酸誘導体は、Pig Liver Esteraseを用いる不斉加水分解により高エナンチオ選択的に生成物を与えることを見出した。これらのキラルビルディングブロックスを活用し、アセチルコリンエステラーゼ活性を示す(-)-physostigmineの形式不斉全合成に二通りの合成ルートで成功した。創製した新規キラルビルディングブロックスは、生物活性を有する各種アルカロイドに誘導できるため、さらなる検討を行っている。 CAIMCPにより創製したキラルビルディングブロックを用い、(-)-platencinの形式不斉全合成に成功した。キラルビルディングブロックから誘導した合成中間体からは(-)-platensimycinの不斉全合成も可能であるので、現在検討中である。
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Research Products
(27 results)