2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラルビルディングブロックスの創製と生物活性多環式天然物の不斉全合成への活用
Project/Area Number |
20390006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中田 雅久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50198131)
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
ophiobolin Aの不斉全合成研究においては、閉環メタセシスによる8員環部分の構築に成功した。引き続き各種官能基変換にも成功し、世界初の不斉全合成を達成した。taxolの不斉全合成研究においては、1,5-ヒドリドシフトによるtaxolのトランスBC縮環部の立体選択的構築、得られた生成物から誘導したメチルケトンの分子内アルケニル化反応による6-8-6のタキサン骨格の構築を経て、酸素官能基の導入を行い、Nicolaouらのtaxolの合成中間体へと変換できた。これによりtaxolの形式的不斉全合成を達成した。nemorosoneの不斉全合成研究においては、プレニル基をアリル基からクロスメタセシスにより合成の終盤で行うこととしているが、酸素官能基の導入の都合上、そのアリル基は中心骨格構築後に導入するように合成計画を変更したが、それ以外の合成ルートに大きな変更は加えずに合成を進めた。新たな知見として中心骨格構築後にC4位ケトンをα、β-不飽和エステルとし、水素添加を行うと水素が立体障害の大きなエンド側から付加した所望の生成物が単一生成物として得られることを見出した。また、必要なアリル基、酸素官能基の導入、官能基変換に成功した。残る2工程を行い世界初の不斉全合成を目指している。bucidaracin Cの不斉全合成研究においては、より工程数の少ない合成ルート開発を検討した。その結果、パン酵母還元により得たキラルビルディングブロックを開環することなくA環部分へ誘導することに成功した。α-ジアゾ-β-ケトジフェニルボスフィンオキシドの触媒的不斉分子内シクロプロパン化が高エナンチオ選択的に進行し、最高90%eeの生成物が得られることを見出した。今後のさらなる検討により、キラルビルディングブロックス創製の新手法として確立することを目指す。
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Research Products
(19 results)