2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (60154449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 修平 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (70240017)
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Keywords | デルマタン硫酸 / コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸エピメラーゼ / 脳 / 計算科学 / 遺伝病 / 単クローン抗体 / プロテオグリカン |
Research Abstract |
以前に我々は、ブタ胎児期のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸混成鎖が神経突起伸長促進活性を有することを見いだし、さらにその活性発現のメカニズムとしてはプレイオトロフィンや肝細胞増殖因子を結合し、神経細胞に提示することによっていることを示していた。そして、プレイオトロフィン結合ドメインから複数の異なる硫酸化八糖配列を単離していた。一方で、二糖組成の全く異なるサメ皮膚由来のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸混成鎖にも神経突起伸長促進活性を有することを見いだしたので、本研究では、この混成鎖を酵素で断片化し、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、プレイオトロフィン固定化カラムを用いたアフィニテークロマトグラフィーを用いて、五硫酸化六糖[ΔHexUA-Ga1NAc(4-O-sulfate)-IdoA(2-O-sulfate)-GalNAc(4-O-sulfate)-IdoA(2-O-sulfate)-GalNAc(4-O-sulfate)]を単離し、その3次元構造と静電ポテンシャルの分布も決定し、既知のミッドカインの構造を用いてプレイオトロフィンの高次構造をシミュレーションで求め、糖鎖結合ドメインも決定した。これらの研究によって、グリコサミノグリカンを介した増殖因子などのタンパク質の機能発現には、単なる硫酸化二糖の配列だけではなく、コンフォメーションと静電ポテンシャルの分布も重要であることが分かった。 その他にも、ヒトのデルマタン硫酸4-O-硫酸機転移酵素の欠損症を発見、プロテオグリカンにおけるグリコサミノグリカン側鎖とタンパク質の間の結合領域四糖を合成する酵素のKOマウスの作成、この結合領域に対する単クローン抗体の開発、ヒドラのコンドロイチンプロテオグリカンの膜の形態形成における機能の証明、デルマタン硫酸エピメラーゼ2のマウス脳における特異的発現の証明などを行い、大きな成果を挙げた。
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