2008 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ感染モデルを基盤とした細菌の病原性発現システムの解明
Project/Area Number |
20390021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関水 和久 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90126095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 力 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (60420238)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 病原性因子 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌のcvfA遺伝子(SA1129)はカイコ感染モデルを用いて我々が同定したagr遺伝子座の上流で機能する病原性制御遺伝子である。CvfAタンパク質はRNAの3'末端に生じる2',3'ホスホジエステル結合を分解する活性を有する。本研究で我々はマイクロアレイ解析により、cvfA遺伝子の発現の有無が転写レベルで影響を与える遺伝子の同定を試みた。cvfA遺伝子欠損株においては、黄色ブドウ球菌の全遺伝子の20%の発現が親株に比べて半分以下に、もしくは2倍以上に変化していた。以前の我々の報告と一致して、cvfA欠損株では、agr遺伝子座の発現が低下していた。今回新たにcvfA欠損株では、病原性因子の発現制御に働くsarS遺伝子の発現が上昇し、sarV遺伝子、及びsarX遺伝子の発現が低下していることが見出された。また、フィプロネクチン結合タンパク質をコードするfnbA遺伝子、莢膜の生合成に働くcapオペロン、セリンプロテアーゼをコードするsplFD遺伝子、メタロプロテアーゼをコードするaur遺伝子の発現量がCvfA欠損株において低下していた。さらに、cvfA遺伝子欠損株においては、アミノ酸の生合成に関わる遺伝子群、解糖系の酢酸代謝、及びクエン酸回路に関わる遺伝子群、トランスポーターを構成する遺伝子群の発現量が変動していた。従って、cvfA遺伝子はアミノ酸代謝やエネルギー代謝に関わる遺伝子群と病原性因子をコードする遺伝子群の両方の発現に寄与する遺伝子であると考えられる。
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