2009 Fiscal Year Annual Research Report
光アフィニティーキャプチャーによるナノモルタンパク質の機能部位解析法開発
Project/Area Number |
20390032
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
畑中 保丸 University of Toyama, 医学薬学研究部(薬学), 教授 (30111181)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友廣 岳則 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 准教授 (70357581)
|
Keywords | 光アフィニティー / 光プローブ / 膜タンパク質 / 機能部位 / 構造解析 |
Research Abstract |
タンパク質の構造、とりわけその機能部位の構造解明は創薬・生命科学の進展に欠くことが出来ない。このため、結晶構造解析やNMR構造解析の手法が発展し、これらを支えるタンパク質発現技術も大きく進歩してきた(例えばNature Methods,5,135-146)。しかし一方で、これらの解析に必要な「結晶化」や「安定性」の条件を満たせず、未利用のまま放置される発現完了タンパク質も数多い。本研究では、これらのタンパク質解析へ有効な手段を提供するため、光アフィニティー法に注目し、その効率法開発を目的に検討した。既存の光アフィニティー法は、機能部位ペプチドの配列解析に至るまでには、マイクロモル量の多量タンパク質を必要とするのが通例である。本研究ではこの点の改良に焦点を絞り、膜タンパク質等の発現量の実際的上限とされるナノモル量タンパク質の機能部位解析のための方法確立を課題として設定した。平成20年度は微量ペプチドを効率よく扱える固相技術の開拓に取り組み、金膜基盤上での直接質量分析に新知見を得たが、平成21年度はタンパク質レベルでの効率法開拓に取り組み、光アフィニティーラベル後の混合試料から目的のラベルタンパク質のみを迅速に取り出し、ラベル体が濃縮された解析用ペプチド試料を調整する効率法の開拓に成功した。ビオチンタグを含むアシルスルホンアミド型光プローブは目的タンパク質の特異的ラベル化とつり上げに有効であり、アビジン上に濃縮捕捉したラベルタンパクのみを、プローブ中のアシルスルホンアミドの切断能を利用して再遊離させることで、その酵素消化物からラベルペプチドの候補を容易に同定できる新技術を開拓した(論文発表済)。この方法で、実際にナノから数十ナノモルレベルのタンパク質を効率よく扱うことが可能であり、本課題の目的であるナノモルタンパク質の機部位解析に有用な方法論を確立するうえで重要な知見を得た。
|