2010 Fiscal Year Annual Research Report
NFκB、HMGA蛋白質を機軸としたDNA切断・架橋剤の創製とがん治療への展開
Project/Area Number |
20390033
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40126008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 良成 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (20194409)
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Keywords | 癌 / NFκB / HMGA蛋白質 / DNA切断 / DNA架橋 |
Research Abstract |
近年、(1)転写因子NFκB活性化と炎症発がんの関連が指摘されている。また(2)構造的クロマチン因子HMGA蛋白質と膵臓がん、がんの浸潤との関連が指摘されている。さらに(3)HMGA蛋白質とNFκBは同じDNA塩基配列に結合し協同的に作用する例が最近報告されている。本研究では2つのDNA結合蛋白質NFkBとHMGAを機軸とし、(1)酸素活性化剤の連結によりDNAを酸化切断する人工分子、および(2)クロスリンク剤の連結によりDNAと架橋を形成する人工分子の創製を行う。これらの人工分子によりNFκBおよびHMGAの関与するがん化を阻止し、両蛋白質の協同的作用の阻害によるがん治療へと展開することを目的する。 研究代表者らは昨年度までの研究において、ジメチルアミノピリジンと2つのイミダゾールからなる対称的構造をもつ人工配位子を合成し、その鉄錯体がDNAを切断する性質のある活性酸素を生成することを見出した。今年度は、この人工配位子をもとに、SH基をもつ任意の蛋白質とin situで結合し特異的DNA切断能力を持つように誘導体化することを検討した。 ジメチルアミノピリジンの2位および6位にホルミル基を導入し、ここにヒスチジンメチルエステルおよびリンカーをもつヒスチジンを順次連結することにより、目的とする化合物の合成を完了することができた。 本化合物はDNAのκB配列に結合する転写因子NFκB、ATフック結合モチーフをもつHMGA蛋白質などと連結し、これらの認識するDNA配列を特異的に切断するDNA切断分子へとin situにて変換することが可能である。
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