2008 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックに遺伝子発現を制御する医薬品候補化合物の創製
Project/Area Number |
20390034
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
宮田 直樹 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 教授 (50114674)
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン脱メチル化酵素阻害剤 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 創薬分子設計 / 遺伝子発現制御 / 制がん剤 / チューブリン |
Research Abstract |
本研究では、遺伝子発現の制御に関わる酵素(ヒストン脱メチル化酵素(HDME)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)など)をターゲットとして、分子設計に基づく酵素活性阻害剤の創製を行い、がん治療薬の創出あるいは遺伝子発現制御の分子メカニズムの解明に供する。平成20年度には、HDMEおよびHDACを阻害するリード化合物の創製に成功した。 (1)HDMEをターゲットとする医薬品候補化合物の創製: HDMEは、フラビンを補酵素とするグループ(LSD1)と活性中心にFeイオンを有しα-ケトグルタル酸を補酵素とするグループ(JMJD2など)に分類される。JMJD2の基質および補酵素が酵素に結合する部位の構造に基づいて阻害剤を分子設計・合成し、新たにN-オキザリルグリシン構造を有するJMJD2阻害剤を見出した(Bioorg. Med. Chem. Lett., in press,(2009).DOI:10.1016/j.bmc1.2009.03.098)。本化合物は、更なる構造展開により制がん剤のリード化合物になることが期待できる。 (2)HDACをターゲットとする医薬品候補化合物の創製: HDACは、活性部位に亜鉛イオンを有するグループおよびNAD依存性のグループ(Sir2)に大別される。亜鉛イオンを有するグループのHDACに対する阻害剤として、亜鉛結合部にボロン酸構造を有する新規阻害剤を見出した(J. Med. Chem., accepted, (2009).)。また、NAD依存性のグループの阻害剤として酵素反応メカニズムに基づく新規阻害剤を見出した(J. Am. Chem. Soc., accepted, (2009).)。これらの化合物は、HDACのアイソザイム選択的な阻害剤のリード化合物となることが期待できる。
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