2010 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックに遺伝子発現を制御する医薬品候補化合物の創製
Project/Area Number |
20390034
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
宮田 直樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (50114674)
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン脱メチル化酵素阻害剤 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 創薬分子設計 / 遺伝子発現制御 / 制がん剤 / チューブリン |
Research Abstract |
本研究では、遺伝子発現の制御に関わる酵素(ヒストン脱メチル化酵素(HDME)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)など)をターゲットとして、分子設計に基づく酵素活性阻害剤の創製を行い、がん治療薬の創出あるいは遺伝子発現制御の分子メカニズムの解明に供する。平成22年度には、引き続き、選択的にHDMEおよびHDACを阻害するリード化合物の創製を行うとともに、活性化合物の医薬品への応用展開研究を行った。 (1)HDMEをターゲットとする医薬品候補化合物の創製: HDMEのアイソザイムであるJMJD2Cに対する選択的阻害剤としてヒドロキサム酸構造を有する化合物を見いだした(JMC, 2010)。今後、がん治療薬としての実用性を検討する。また、2009年度に見出したLSD1選択的阻害化合物(NCL-1, JACS, 2009)が、LSD1を阻害することによりHIV複製阻害作用を有することを見いだし(特願2010-477176)、抗ウイルス薬として利用できる可能性を示した。また、光学活性なNCL-1の合成に成功し、活性な光学異性体の構造を明らかにした(日本薬学会東海支部会、静岡)。これらの知見は、選択的なHDME阻害剤の創製に有用であり、引き続き、活性化合物の創製と生物作用試験を行う。 (2)HDACをターゲットとする医薬品候補化合物の創製: HDACのアイソザイム選択的な阻害剤の創製を目的として、in situ click chemistryの方法の活用を検討し、HDACをテンプレートとする興味深い反応を見いだした(Angew. Chem, 2010)。また、我々が見いだした、HDAC6選択的阻害剤が抗うつ作用を有することを見いだした(特願2010-2010-196993)。これらの知見に基づき、引き続き、他のHDACアイソザイムに対する選択的な阻害剤の創製研究を行う。
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Research Products
(11 results)