2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェノール性抗酸化剤をテンプレートとした生活習慣病の予防および治療薬の開発
Project/Area Number |
20390038
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
福原 潔 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 室長 (70189968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 晴宏 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 部長 (30160807)
梅村 隆志 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 室長 (50185071)
大野 彰子 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 主任研究官 (70356236)
正田 卓司 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 主任研究官 (60435708)
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Keywords | 抗酸化剤 / 酸化ストレス / アルツハイマー病 / カテキン / ビタミンE / ポリフェノール |
Research Abstract |
カテキンやビタミンE等の天然フェノール性抗酸化剤のアルツハイマー病に対する予防作用に着目し,アミロイドβの凝集阻害と老人斑の形成過程で発生する活性酸素の消去を作用メカニズムとした新規予防薬の開発を行った. 1.アミロイドβをターゲッティングとした新規カテキン誘導体の設計・合成:アルツハイマー病で特徴的に発現するアミロイドβ蛋白は凝集して老人斑を形成する.この過程で発生する活性酸素が脳神経細胞障害を引き起こすことが明らかになっている.そこで,アミロイドβの凝集反応の阻害作用と活性酸素の消去作用によって脳神経細胞障害を予防するフェノール性抗酸化剤として,強力なラジカル消去活性を有する平面型カテキンに様々なアルキル側鎖を導入した誘導体を設計・合成した. 2.ラジカル消去能の解析:活性酸素のモデル化合物としてガルビノキシルラジカルを用いて,分光学的手法によりカテキン誘導体によるラジカル消去能の速度論的解析を行った.その結果,平面型カテキン誘導体は天然カテキンよりもさらに強力なラジカル能を有することがわかった. 3.アミロイドβ凝集の阻害作用の解析:アミロイドβの凝集作用に対する平面型カテキン誘導体の阻害効果をチオフラビンT法を用いて解析した.その結果,合成したカテキン誘導体は強力な凝集阻害作用を示すこと,特に,ビタミンEのアルキル側鎖を導入した平面型カテキン誘導体は強力な作用を示すことが明らかとなった. 4.神経細胞毒性の阻害作用の解析:神経細胞SH-SY5Yを用いたアミロイドβによる毒性のモデル系へのカテキン誘導体の影響を検討した結果,ビタミンEのアルキル側鎖を導入した平面型カテキン誘導体は強力に細胞毒性を阻害することがわかった. 以上,アルキル側鎖を有する平面型カテキン誘導体は,強力なアミロイドβの凝集阻害作用と活性酸素消去作用を有することから,アルツハイマー病の予防薬として有効であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で対象としている酸化ストレス疾患のうち,アルツハイマー病に対して神経細胞毒性の発症機構に基づいた予防・治療薬として設計・合成したカテキン誘導体がアミロイドβの凝集阻害,ラジカル消去,および神経細胞毒性の阻害を示すことを明らかにすることができた.最終年度に予定していた神経細胞を用いた生物実験を実施できたことから,構造活性相関に基づいた化合物の構造最適化を行うことが可能となった.なお,新規カテキン誘導体のアルツハイマー予防作用については特許出願できた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で設計・合成した化合物の構造最適化を行う,また,アミロイドβの凝集反応を詳細に検討し,凝集開始に関わるβシート構造の形成を阻害する化合物を開発する.
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Research Products
(14 results)