2009 Fiscal Year Annual Research Report
家族性パーキンソン病発症メカニズムを規範とした孤発性パーキンソン病発症機構解析
Project/Area Number |
20390040
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 茂 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60160503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古武 弥一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20335649)
杉原 数美 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (20271067)
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Keywords | パーキンソン病 / テトラハイドロイソキノリン / Parkin / チューブリン / ユビキチン化阻害 |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)は、特定の遺伝子異常に起因する家族性PDと、遺伝子異常だけでは説明できず、神経毒のような環境因子の重要な関与が考えられている孤発性PDからなる。ある種の家族性PDでは、parkinという遺伝子に変異が存在し、その遺伝子がコードするParkinタンパク質のユビキチンE3リガーゼの機能が減弱することが発症原因であると考えられている。本年度は、孤発性PDにもParkinの不活性化が関係している可能性を考え、PD関連神経毒によるParkinの不活性化および発現量の変動について検討した。ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に、孤発性PD患者脳脊髄液で増加している物質である1-benzyl-1, 2, 3, 4-tetrahydroisoquinoline(1BnTIQ)を曝露した後、細胞を回収した。TNE bufferに可溶化したものを可溶性画分、さらに不溶性のものを2%SDS含有Tris-HCI bufferに溶解させたものを不溶性画分とし、各画分のParkinタンパク量をウエスタンブロッティングにより検討した。また、Parkin活性について、細胞系では、抗tubulin抗体で免疫沈降したサンプルを抗ユビキチン抗体でwestern blottingを行うことにより、またin vitro系では、必要な因子を加えたユビキチン化アッセイにより基質であるtubulinのユビキチン化をwestern blottingにより検討した。tubulinのユビキチン化に対する1BnTIQの影響を調べたところ、in vitro系、細胞系ともにユビキチン化の阻害が認められた。また、1BnTIQを細胞に48時間曝露すると、可溶性画分、不溶性画分ともにParkinの発現が誘導された。これらの結果から、1BnTIQによりParkinの不活性化が起こり、その代償機構としてParkin発現が誘導される可能性が示された。
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Research Products
(11 results)