2009 Fiscal Year Annual Research Report
侵害刺激受容チャネルを経由した化学物質の接触感作促進(アジュバント)作用の解明
Project/Area Number |
20390041
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
今井 康之 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (80160034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒羽子 孝太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90333525)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 衛生 / 免疫学 / 薬学 / 神経科学 |
Research Abstract |
化学物質過敏症の感作過程に影響力を持つアジュバント作用(抗原による感作を助ける作用)のある一群の化学物質として種々のフタルエステルを見出し、侵害刺激受容チャネルであるTRPA 1およびTRPV 1に対する刺激活性とアジュバント作用との間の相関関係を明らかにしてきた。TRPチャネルに対する刺激活性が知られている物質を用いて、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)をハプテンとしたマウス接触性皮膚炎モデルを用いてさらに検索をすすめた。その結果、TRPA1刺激活性が報告されているシンナムアルデヒドやメントールにもアジュバント作用を見出した。さらにこれらの化学物質が、ハプテンの感作部位である皮膚から所属リンパ節に向けた抗原提示細胞の移動、すなわちFITCを抗原提示したCD11c陽性樹状細胞のトラフィッキングを促進することを見出した。一方、フタル酸エステルによるアジュバント作用の影響を受けないハプテンの存在も明らかになってきたため、ハプテンの性質とフタル酸エステルのアジュバント作用の関係についてさらに検索をすすめた。その結果、FITCをハプテンとした場合にアジュバント作用を示さなかったdi-(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)が、2種類のイソシアネート2-methoxy-4-nitrophenyl isocyanate (MNICN)とphenethyl isocyanate (PEICN)をハプテンとしたモデルにおいてアジュバント作用を示す事を見出した。DEHPは環境中に最も多くみられるフタル酸エステルであるが、今回初めて接触性皮膚炎モデルにおいてアジュバント作用が確認された。なお従来の報告に反して、DEHPはヘルパーT細胞をTh]型に分極化させる(インターフェロン-γ産生促進、IL-4産生抑制)ことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)