2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態関連遺伝子に見るコピー数多型(CNV)のヒト生体中における意義解明
Project/Area Number |
20390048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
家入 一郎 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60253473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 豪 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (80423573)
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Keywords | PK / PD遺伝子 / コピー数多型 |
Research Abstract |
(1)PK/PD遺伝子におけるCNV解析-CNV関連のデータベースより、CNVの存在が予想されるPK/PD遺伝子を中心に対象遺伝子の絞り込みを行った(in silico)。その結果、解析対象とした遺伝子は、以下の通り;PK遺伝子:CBR1, CES1, CYP2A6, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1, DPYD, FOLR2, FPGS, GGH, ABCC1-5, ABCG2, SLC19A1, SLC22A1-3, SLC47A1-2, PD遺伝子:ACE, ACHE, ATIC, ATP4B, DHFR, HTR1A&B, MTHFR, TBXA2R, TYMS。なお、CNV特定のために標的遺伝子と内標遺伝子の塩基配列を1:1の割合で挿入したvectorを作成し、実際に正確なCNVを提供することを確認した。本vectorによる定量方法は本検討で独自に確立した定量方法となる。CYP1A6(CNV=0-2)、 CYP2D6(CNV=0-3)、 ABCC2(CNV=2-3)以外のPK関連遺伝子、PD関連遺伝子にはCNVは観察されず、血液由来日本人ゲノムサンプルには、CNVは殆ど見られないと考えられた。一方、CYP1A6、 CYP2D6遺伝子以外では、ABCC2遺伝子にCNVが示唆された。ABCC2遺伝子は肝胆管疾患原因遺伝子であり、CNVの報告は皆無であることから、本検体について、さらに詳細なCNV解析を行った。 (2)ABCC2遺伝子解析-ABCC2遺伝子にCNVが示唆された検体を解析対象とした。exon2からexon32の翻訳領域にprimerを設定し、CNVを評価した所、一律のCNVが得られず、exon23をmax(CNV=4)とする分布が得られた。exon23を中心とする領域でgenome walkingを行い、近傍の塩基配列を特定した。その結果、野生型の配列を有していた。以上のことから、本検体のABCC2遺伝子のCNVは2であり、未特定の領域でprimerに反応する領域の増幅による誤判定と考えられた。CNV検討時のprimer設定における留意点と言える。 (3)がん組織におけるPK/PD遺伝子のCNV;(1)で得られた結果とは大きく異なり、CNVが多くの遺伝子で観察された。薬剤耐性や疾患進行度との関連評価を行っていくことが必要である。
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