2009 Fiscal Year Annual Research Report
ディファレンシャルディスプレイ法を用いた新しい初期心筋分化機構の解明
Project/Area Number |
20390052
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中島 裕司 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (80207795)
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Keywords | 解剖学 / 発生・分化 / 中胚葉 / 細胞移動 / 原腸陥入 |
Research Abstract |
【研究の背景】胞胚期の予定心臓領域は胚盤葉上層外側後方に存在し、Nodal、FGFシグナルによって心臓中胚葉に分化し、原腸期にBMPによって決定を受け、拍動する心筋に分化する。また予定心臓細胞は原腸陥入前に上皮構造である胚盤葉上層内を外側から後方、後方から前方に移動する奇妙な細胞移動を行う(ポロネーズ運動)。これまでの研究で胚盤葉上層に特異的に発現している75遺伝子を同定したが、今年度は胚盤葉上層に発現しているNodal遺伝子のポロネーズ運動に対する作用を検討した。【結果】胞胚期の胚盤葉上層細胞をDiIでマークし、全胚培養を行い、Lefty1、Si-Nodal、Cerberus-Sを用いてNodalの機能阻害実験を行った。その結果、Nodalシグナルの抑制は細胞の移動を抑制することが分かった。この際、原条は形成されないが中胚葉分化マーカーであるBrachyuryは異所性に発現していた。しかしNodalの抑制によって細胞増殖は抑制されず、アポトーシスも誘発されなかった。一方、原腸陥入の際、細胞移動が起こらない胚盤葉上層前方細胞をrNodalで刺激すると細胞移動が起こった。さらに、発生中の上皮内の細胞移動に関係すると考えられている細胞Rosette構造について検討したところRosetteは胚盤葉上層後方、すなわちポロネーズ運動が起こっている場所に多くみられた。三次元構築によってRosetteには二種類の構造があることが判明した。さらにNodalシグナルの抑制はRosette形成を抑制することが明らかになった。【結論】胞胚期に胚盤葉上層に発現しているNodalはポロネーズ運動を制御していることが判明した。
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Research Products
(4 results)