Research Abstract |
臓器線維症(肝硬変)においては,活性化線維芽細胞(活性化肝星細胞)が,線維化に関しての責任細胞と考えられており,この星細胞の活性化によって示される細胞増殖,細胞外マトリックスの産生にマイクロRNAがどのような影響を及ぼしているのかが,本研究の最も重要なポイントである。これまでに,肝星細胞活性化におけるマイクロRNAの発現変動を検索したところ,20程度の有意な発現変動を示すマイクロRNAが確認できており,これらをイギリスのサンガー研究所のデータベースを用いた解析をおこなったところ,肝星細胞の活性化と関連が深い因子であるcollagen 1A2がmiR-92, 19b, 26と,Sp1, CDC42がmiR-92, 335と関連付けられた因子であることが判明した。さらに今回,チオアセトアミドによる肝障害をマウスに作製し,障害肝と正常肝との間でのマイクロRNAの変化について検討してみたところ,miR-18a, miR-29b, miR-200b等の発現の変動が確認できた。miR-18aは,上記のmiR-19b, miR-92とクラスターを形成していることが知られている。miR-29bは,collagen 1A1とcollagen 1A1の転写因子として重要な役割を果たしているSp1の3'UTRに結合し,コラーゲンの産生を抑制することを明らかにしている。さらに,miR-200bは,上皮間葉系移行と深く関連するSIP1を制御することが明らかとなった。
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